2019年02月15日

アジア激動の時代・拡散するテロリストの連帯

 中東を拠点としていた過激派組織イスラム国は、壊滅状態となり、世界中に戦闘員が拡散しています。その一部は、アジア地域に新たなテロの拠点を築き、現地の武装組織と連携を組みながら反政府活動を展開し、過激思想をそれぞれの地域で染み込ませる動きが強まっています。

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 フィリピンでは、南部ミンダナオ島で一昨年フィリピン国軍と過激派組織アブ・サヤフやマウテグループとの大規模戦闘が勃発し、ドゥテルテ大統領は、対テロリスト戦争宣言の旗振りで掃討作戦を強行することで、占拠されていたマラウィーの街を軍事力で奪還しました。フィリピン南部一帯では、この事件と並行する形でイスラム自治政府樹立に向けた和平協議を続け、2022年には、南部自治政府の舵取りを認めていく方針を固めました。飴と鞭を使い分けたドゥテルテ大統領の剛腕ぶりが際立ちましたが、政府介入の自治政府体制に不満をもつ複数の過激派組織が反政府テロを拡大させている現状も見過ごせません。

 インドネシアでは、昨年、東ジャワ州スラバヤでイスラム武装組織によるキリスト教会襲撃事件が発生しました。この事件では、市民が犠牲になっただけでなく警察署までもが攻撃を受ける事態となり、過激派ネットワークの解明が叫ばれました。さらに犯行に関わった人物が、家族ぐるみで攻撃を仕掛けていたこと、事件現場では両親だけでなく、幼い子供までもが事件を引き起こす側に巻き込まれていたことが判明しました。この家族は、中流階級の裕福な暮らしを保ち、その地域では指導者にあたるような人物であったことがさらなる衝撃を広げました。

 ミャンマーでは、少数民族ロヒンギャ難民問題に絡みイスラム国に関わった人物が潜伏し、襲撃事件を支援していることが報告されています。微笑みの国タイでも、マレーシア国境地域で繰り返し発生するイスラム過激派によるテロ襲撃事件だけでなく、首都バンコクでも爆破テロが起こったことは記憶に新しい事件といえます。南アジアのバングラデシュでは、日本人が犠牲となった首都ダッカ・グルシャン地区で発生した外国人襲撃テロ事件の惨劇が国内の過激派の存在を際立たせ、犯行に関わった人物の拘束、テロリスト同士の連帯の構造が浮かび上がりました。

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 アジア地域での過激派の事件は、中東を拠点としていたイスラム国に直接足を向け、薫陶を受けた若者たちが各々の祖国に帰国し、テロの連携や技術の共有、そして極端なイスラム思想を流布していることが引き金となっています。イスラム国によるテロの思想は、武器を持ち、戦闘員を戦わせるだけでなく、宗教色を際立たせた思想テロリストが事件の背景に染み込んできていると感じています。テロに対峙するアジア各国の危機管理体制の連携が問われています。

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