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2018年02月20日

アフガニスタン・テロリストの競合

アフガニスタンで過激派組織によるテロ事件が連鎖しています。首都カブールにあるホテルや政府庁舎、さらには警察学校の訓練施設までもが襲撃を受け多数の死傷者が出る事態に陥りました。イスラム組織タリバーンや中東のイスラム国に関わる組織が、テロの実績を競い合うかのようにさらなる攻撃を続けています。

戦闘員1戦闘員1人

アフガニスタンでは復興支援活動を展開してきた多国籍部隊ISAFが撤退し、治安維持の舵取りをアフガニスタン国軍と警察に移譲。アシュラフ・ガニ大統領指揮のもとアフガニスタン再建を進めるも全土に局地的な空白地帯が生まれ、過激派が増殖。貧困や差別など生活基盤を失った若者たちがテロリストにリクルートされていく構造が生まれてきました。中東を拠点としていたイスラム国がシリアやイラクで壊滅状態となり、戦闘員が世界各地に拡散。イスラム思想が深く染み込んでいる中央アジアや南アジア一帯が今後のテロの牙城になると指摘されています。

地雷を除去する戦闘員1人戦闘員の後姿

中東でのイスラム国掃討作戦を展開したアメリカ軍が、今後アフガニスタンに兵力をシフトしていく可能性をトランプ大統領が指摘しました。かつての治安復興を担っていた多国籍部隊ISAFの母体である北大西洋条約機構(NATO)も昨年の段階で兵力再増派を決定しています。テロリスト側にも変化が見られます。競い合うかのように襲撃を繰り替えしてきた武装組織同士が、地域によってテロの連帯を組んでいる動きが見え始めています。テロそのものを大規模なものからより少ない戦闘員で素早く犯行に及んでいく戦略も際立ち始めました。これからのテロリストの特徴とは、いままでのように多数の命を奪うことを最大の目的とせず、自分たちの存在を世界に見せつけること、そしてテロの同業組織に自らの破壊力を見せつけることに重きをおいていくと想定しています。

くつろぐアメリカ兵・国旗とともにくつろぐ戦闘員食事風景

振り返るとアフガニスタン情勢は2001年9月11日のニューヨークワールドトレードセンター爆破テロ事件からアフガニスタンにアメリカ軍が進軍したことで戦争が勃発。その後、兵力はイラク戦争に流れイスラム国掃討作戦に連結。そして今年再びアフガニスタンに兵力が集中する兆候があります。アフガニスタンが対テロ戦争の主戦場になることを避けるために、アフガニスタン政府の統治能力を欧米諸国が支援していく戦術が求められています。アフガニスタンはアフガニスタン人がアフガニスタンのために統治することが過激派を抑え込んでいく最善の策なのかもしれません。

渡部陽一

渡部陽一

渡部陽一わたなべよういち

戦場カメラマン

1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…

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