今年5月、マイクロソフトが全世界で6,000人の人員削減を発表して業界を驚かせましたが、続く6月にも9,000人の削減を発表しました。特に5月のリストラでは、削減対象に多数のソフトウェアエンジニアが含まれていたことが注目されました。米企業がリストラを行うのは珍しいことではありませんが、ソフトウェア企業であるマイクロソフトにとって、ソフトウェアエンジニアはまさに業務の中核を担う人材です。通常ならリストラの対象にはなりにくい業種です。それに、マイクロソフトは決して業績が悪いわけではなく、むしろ過去最高益を出したばかりです。
何故このタイミングで大量のリストラに踏み切ったのかについては、日経をはじめとする多くの報道機関の解説では、人件費を削減してAIデータセンターへの投資に振り向ける、ということだそうです。AIはとにかくお金がかかりますから、今後この分野で勝負していくためには資源の再配分が必要、ということには納得できます。
ここで思い出したのが、マイクロソフトCEOのナデラ氏が4月末のインタビューで「マイクロソフトの一部のプロジェクトでは、コードの20-30%がソフトウェア(AI)によって書かれている」と発言したという記事です。AIがプログラムを書いていることは知っていましたが、まさかそこまで進んでいるとは思いませんでした。そして、この発言の直後に、ソフトウェアエンジニアの大量リストラが発表されました。
これらを合わせて考えると、AIを押し進めるマイクロソフトの社内で、まさにAIが人間のエンジニアの職を奪っているのではないか、という推測が成り立つことになります。コードの20-30%がAIによって書かれているのであれば、単純に計算して、プログラマの20-30%が不要になるということにはならないでしょうか。そしてその人件費をAIに投資することでAIが強化され、マイクロソフトの競争力は向上し、さらなる人員削減も可能になるわけです。
10年前、「AIで代替される仕事」というレポートが発表され、話題になりました。ただ、このときには代替される仕事にもされにくい仕事にも「プログラマ」は入っていませんでした。単に漏れただけなのか、思いも寄らなかったのかはわかりませんが、10年後にこのようなことになっていようとは予想できなかったのではないでしょうか。まさに「不確実性」という言葉がぴったりの時代になってきたといえるでしょう。
大越章司おおこししょうじ
株式会社アプライド・マーケティング 代表取締役
外資系/国産、ハードウェア/ソフトウェアと、幅広い業種/技術分野で営業/マーケティングを経験。現在は独立してIT企業のマーケティングをお手伝いしています。 様々な業種/技術を経験しているため、IT技…
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