2012年04月20日

女性活躍推進先進国・シンガポール 取材レポート3 ~外国人と日本人女性の共通点

シンガポール取材レポートの第3弾として、今回は外国人と日本人女性の共通点についてご紹介します。私は今回の現地取材で、シンガポールの働き方のスタンス、やりがいなどをヒアリングしてきたのですが、そのなかで、ひとつ残念な発見もありました。それは、「日系企業はシンガポールでは不人気」ということ。

これは、ある人材エージェントの方がおっしゃっていたのですが、「以前は日本企業を希望していた人も多かったが、一度経験すると、"次の転職先は、日系以外でお願いします"と言われてしまう」と。その理由を、シンガポールと日本の労働環境の違いから辿ってみてみましょう。

シンガポールでは多くの人が20代~30代前半に、2-3年ごとに転職します。(※もちろん全員ではありません。私が取材したある政府職員の男性は、一度も転職していませんでした)この、若いうちに2-3年ごとに転職する傾向は、民間企業、特にホワイトカラーの特徴のようです。

「若いうちに色々な会社を見て、自分のやりたいことをみつけるため」という理由が一番多いようですが、"この上司は、自分がキャリアを積むために弊害になる"や、"この会社では、マネジャーになれそうもない"、というのも転職理由になるようです。

将来につながるかどうかを、長い目で個人のキャリアと合わせて考え、必要に応じて転職するのです。そして、30代半ばくらいに自身の方向性を見極め、一つの会社に落ち着いていくのだそうです。(※ただ、若いうちに4回も5回も転職を繰り返すと、"ジョブホッパー"とみなされてしまうのは日本と同じとのこと)そんなシンガポールの労働環境のなかで日系企業もキャリアの選択肢として考える方もいらっしゃいますが、その結果は上述のエージェントの方のお話しどおり...。

シンガポールにおける日系企業の不人気の大きな要因は、「能力が発揮しづらい」「チャンスをもらえない」なのだそうです。具体的な声は下記のとおり。

・職場の人間関係がわかりづらい
・上司が何を期待しているのか、はっきり言ってくれないのでわからない
・一生会社に尽くす日本体質があるからか、上下関係がはっきりしている
・プロセスが長く、なかなか前に進まない
・日本人同士を信じ、ローカライズを信頼してくれないため出世の機会がない
・仕事を任せてくれない
・日本人だけのコミュニティで、自分たちは蚊帳の外

これは日本企業独自の特徴のようで、他国資本の企業で上記のような傾向は少ないそうです。

日本人である私たちは、転職を繰りかえす人に対し「だって、そうやってすぐ"自分のキャリアのため"といって辞めるから、仕事を任せたくても任せられないよ」と感じるのではないでしょうか。しかし、皆さんに一度考えて頂きたいのは、彼らから言わせると、「任せてくれないから辞める」とも言えるのではないでしょうか?そして、私がここで感じることは、「女性に対する日本社会のあり方と似ている」ということ。

日本生産性本部のデータによると、企業側が女性を使いづらいと感じる理由として、「意識が低い」が80%弱、「管理職の、女性に対する理解、関心が薄い」が60%弱。"女性はすぐ辞めるから"などの理由で、仕事を任せることを躊躇されるお話はよく聞きますが、その姿はおそらく、外国人に対する課題と似ているのではないでしょうか。また、日本で女性が転職する理由も、なんだかシンガポールの理由と似ているのではないでしょうか。

「今の会社にいても、自分のためにならないので辞めたいんです」、そうご相談にいらっしゃる女性も実際多いのですが、なかには「じゃあ貴方は会社のためにあなたは何かしたのか?」と聞きたくなる方がいるのもの事実。どちらの考えが正しいかはさておき、この女性の考え方も、日本企業への転職を控えるシンガポール人と共通ではないかと感じました。

これからの時代は、日本でも性別・国籍を問わず、様々な人を巻き込んで仕事を進めていくことになると思います。定着しない人たちをどう使っていくか、どうしたら優秀な人が定着するか、をもっと真剣に検討する必要がありそうです。