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2022年07月08日

クラウド化におけるリフト&シフト

クラウド化にはコスト上のメリットがあるはずなのに、「せっかくクラウド化したのにトータルコストはあまり安くならなかった。」という話を聞くことがあるのは、何故なのでしょうか?
これにはさまざまな理由がありますが、中でも「リフト&シフト」が完全にできていないことが原因のケースが多い様です。

最初からクラウド上にシステムを構築するのであれば、クラウドに最適化したシステムを設計すれば良いのですが、オンプレミスで稼働中のシステムをクラウドに移行させる場合はそうは行きません。既存のシステムを捨てて、クラウド上にまったく新しく作り直すのが理想ですが、それにはコストも時間もかかりすぎるため、現実的ではありません。

そこで、まずはオンプレミスで稼働しているシステムをほぼそのままの形でクラウドへ移行させ、その後に徐々にクラウドに最適化させる、という段階的な手法が採られます。現行のシステムをそのままクラウドに「持ち上げる」のが「リフト」、持ち上げたシステムをクラウドに最適な形に「移行させる」のが「シフト」で、合わせて「リフト&シフト」と呼ばれます。

リフトでは例えば、オンプレミスで10台のサーバーを使って稼働しているシステムをクラウドに移す際に、仮想マシンを10台用意して、各々で動いているミドルウェアやアプリケーションをそのまま移行させます。このときに、ついでに台数を削減しようとか、アプリケーションの改修も同時に行おうとすると、思わぬ障害が発生したりする可能性があるのです。

システムが無事クラウド上で稼働し始めたことを確認した後に、各サーバーの負荷状況を見て、仮想マシンの台数を減らしたり増やしたりするなどの調整を行えば良いのです。オンプレミスでは、一度購入したサーバーを返却することはできませんが、クラウドであれば簡単です。サーバーの台数を減らすことができれば、その時点でクラウドへ移行させた意味はあると言えるでしょう。

その後、オンプレミスでは社内で稼働させていたDNSやデータベースサーバーをクラウド上のマネージドサービスで置き換えるなどすることで、さらに管理負荷を減少させ、トータルコストを引き下げることができます。

ところが、いろいろな事例を見ていると、「リフト」までで止ってしまっているケースが散見されるのです。これでは、クラウド化のメリットは限定的で、移行のためのコストが増えただけ、という結果になりかねません。止ってしまう理由には社内体制の問題や技術的な問題がある場合もあると聞きますが、そこを乗り越えないと本当のクラウド化とは言えません。もし、「せっかくクラウド化したのにトータルコストはあまり安くならなかった。」という不満をお持ちでしたら、「シフト」がどうなっているのか、確認してみることをお勧めします。

大越章司

大越章司

大越章司おおこししょうじ

株式会社アプライド・マーケティング 代表取締役

外資系/国産、ハードウェア/ソフトウェアと、幅広い業種/技術分野で営業/マーケティングを経験。現在は独立してIT企業のマーケティングをお手伝いしています。 様々な業種/技術を経験しているため、IT技…

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