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2014年10月24日

報連相されない上司の特徴

自分に対して、的確に情報を入れて来ない部下に悩む上司がいます。仕事の進捗や、状況の変化、納期の迫っている業務などについて、なぜ部下はタイムリーに報告や連絡や相談をしてこないのだろう。能力や意欲の不足が原因か、組織的な行動というものが分かっていないのか、そんな不満を上司は抱きます。確かに、組織的に上手に仕事を進める力が欠けているということもあるでしょう。しかし、部下が「上司と会話をしたくないから」というケースは少なくありません。

正直に報告したら、「なぜ、そんな結果になったのか?」から始まって、細かに経緯を説明させられ、ああすれば良かったのに、こんな手もあったとアイデアを披露され、それができなかったのは力不足だ、やる気不足だ、そうだろ、と詰問される。書類一つ持っていけば、重箱の隅をつつくような指摘があり、またか、と呆れられる。連絡したら、よそ見をしながら「ハイハイ」で終わり。困って相談したら、「お前はどうしたいのか」「もっと自分で考えてみろ」と助けてもくれない。こんなコミュニケーションによって、部下は傷つきます。誰しも人は傷つきたくない。これが報連相がなされない理由です。

「甘い」と感じる人も多いでしょう。確かに、仕事なんだから、そして上司・部下という関係なのだから、辛くても嫌でもやるのが当然だ、というのは正論。しかし、そんな正論だけでは人が動かないのも現実です。「いやいや、仕事では厳しいけど、ちゃんとフォローしているよ」と言う人もいるでしょう。もちろんフォローするのは大切かもしれませんが、そんな勝手な話はありません。イマイチだったかもしれないけど、本人が一生懸命に取り組んだ仕事についてガツンとダメ出しして傷つけておいて、あとで軽い話題を振ってなごやかな会話をしたからと言って、その傷が癒え、人間関係が良好に保たれるのかどうか。部下はよく見ていますから、「あっ、わざとらしいフォローに来た」と思うだけでしょう。こう考えれば、報告・連絡・相談がないのは、感情が抑えきれず、見え方も分からず、相手を傷つけるようなコミュニケーションしかできない自分のせいなのです。

こういう人が上司をやっている部署の会議には共通点があります。皆がいつも同じ席に座り、いつも通り一遍の進行である。発言はまるで霞が関の官僚のように、言質をとられないように抽象的で回りくどい言い方をする。会話に遊びや笑いがないので、アイデアがまったく出ない。上司は、そこでなされる発言に対してネガティブに突っ込んだり、「いつまでにやるんだ」などと詰問したりするばかりなので、たかが一部署内の会議には不必要な緊張感に包まれています。学習モデルでは「一方的学習モデル」と言いますが、自分のほうが情報の質・量、判断力・思考力において優位であり、他の人を一方的に教えようという態度です。

「そんなのは当然だ」と言う人もいるでしょう。業務管理が上司の役割であって、遅れやモレがないように、ときには厳しく指導するのは当たり前じゃないかと。確かに、カネの論理ではそうです。機嫌よく元気に働いてもらうのは大切かもしれないけれど、それでイマイチな仕事をされたのでは、たまったものではない。成長も創意工夫も待っていられない。そうこうしている間に、カネがなくなってしまうじゃないかという理屈です。これはおっしゃる通りで、否定できません。

でも、それなら的確に情報を入れて来ない部下に悩んではいけません。厳しい業務管理によって部下の心が遠ざかってしまうことから逃げてはいけません。厳しい業務管理こそがマネジメントなのであると信じ、報連相など期待せずに、また孤立を恐れることなく、収益を追求すればよい。部下への厳しさと効果的な報連相を受けることは、両立しないのだと思って組織運営を行わねばなりません。

川口雅裕

川口雅裕

川口雅裕かわぐちまさひろ

NPO法人「老いの工学研究所」理事長(高齢期の暮らしの研究者)

皆様が貴重な時間を使って来られたことに感謝し、関西人らしい“芸人魂”を持ってお話しをしています。その結果、少しでも「楽しさ」や「気づき」をお持ち帰りいただけていることは、講師冥利につきると思います。ま…

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