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2020年07月16日

「地方版IoT推進ラボ」を活用しよう

前回、なぜ地方にIoT・AIが必要なのか、地方の問題をIoT・AIでどのように解決するのかについてお話ししました。今回はより具体的に、問題を解決するための手段として「地方版IoT推進ラボ」の活用についてお話しします。

「地方版IoT推進ラボ」とは何かというと、地域における新たな価値創造に向けて、IoTプロジェクトを創出する取り組みを経済産業省・独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が選定し、支援している総称です。つまり、IoTを活用して地方を盛り上げようとしている地域のベンチャー企業、大学などの団体が行っているさまざまな取り組みを、経産省やその関連機関であるIPAがサポートしてくれるということです。

そもそも地方にはIT企業の数自体が少ないです。そのため、何かをやろうとしても周りにサポート体制がなかったり、自分で探すのが難しかったりします。そのような状況の中、よくわからない情報に振り回されないようにするためには、地方版IoT推進ラボを活用するのも一つの手です。

自分のプロジェクトを進める上で、自治体や学校など公的機関との協力が必要という場合、地方版IoT推進ラボに選定されている、つまり経産省のバックアップ、お墨付きがあるということによって活動がやりやすくなります。さらに、ロゴの使用、メンターの派遣、協業サービスの提供といった形でプロジェクトの支援を受けることができます

一方、協力する側の公的機関や企業も、玉石混交の企業の中で迷うことなく、地方版IoT推進ラボの登録社から選ぶことができます。

IoT化するときには、まとまったお金が必要となります。しかし、地方には潤沢な財源がないのが実情です。地方版IoT推進ラボでは国の補助金の利活用の方法について情報提供してくれたり、プロジェクトに興味を持っている都会の企業をマッチングしてくれたりもするのです。

実際にプロジェクトが動き始めてからは、ポータルサイトやイベント等によるIoT関係者への広報活動、地域のプロジェクトの実現、企業等の発展に資するメンターの派遣などもしてもらうことができます。

地方版IoT推進ラボの事例を挙げますと、例えば次のようなものがあります。

北海道の人口約6,200人の町・士幌町では、人口の減少や農業の担い手不足、農業の生産性の低下といった課題を解決することに取り組んでいます。

士幌高校が所有する実証農場に、温度・湿度や土壌の水分、日射量などを測定できる農業用のIoT機器を設置。収集したデータを生物学的に分析することで、生徒たちがデータを活用した農作物の栽培技術を身に付けられるようになったそうです。その結果、科学的なスキルを持つ農業人材の育成や士幌町全体の農業の生産性向上にもつながっているとのことです。さらに、農業生産の環境的、経済的および社会的な持続性に向けた国際認証である「GLOBAL G.A.P」をニンニクやニンジンといった品目で取得したり、生徒の草案をもとに会社を創って6次産業を本格化したりと、高校として全国的に珍しい成果を上げています。

また、広島県の広島電鉄では、KDDI DIGITAL GATEを活用し、地域公共交通の乗務員の勤怠実績の集計を自動化する実証実験が行われました。

1日に7,000便の電車・バスを運行する同社では、1,000人を超える乗務員の日々の勤怠管理を紙にペンで記録し、電卓で集計してエクセルに打ち直すというアナログ作業で行っていたそうです。乗務員がスマートフォン端末で使用するシステム「Auto delay time record電太郎」を開発し、運転席に設置することで、運行時間の管理を行うと同時に到着時刻を自動で打刻することを同時に実現。勤務実績の記録も画面をタップするだけで完了することができるようなったといいます。今後は実業務への実装も進められると考えられます。

このように、地方版IoT推進ラボを活用すれば、自らの団体内だけでは実現し得なかったスキルやアイディアを取り入れ、業務の効率化や技術の向上を図ることも可能なのです。スキルや人脈不足に悩んでいる場合は、一度、地方版IoT推進ラボの活用を検討してみるのもいいと思います。

久原健司

久原健司

久原健司くはらけんじ

株式会社プロイノベーション代表

1978年生まれ。 2001年東海大学工学部通信工学科卒業後、ITの人材派遣会社に入社。大手コンビニエンスストアのPOSシステム保守運用業務を担当する。2003年からソフトウェア開発会社で、システム…

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