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2010年10月25日

ロールプレイのススメ

営業職などお客様に対応する職種の方は、自分たちで「ロールプレイ」をされる機会が多いと思います。ある設定のもとで、誰かがお客様役を、誰かが営業などそれに対応する役をやって、その対応者が行った言動について皆で評価・フィードバックして改善・レベルアップを図っていこうというもので、上手にやれば高い効果が期待できる研修です。

ロールプレイの効用には、次のようなことが挙げられます。

・上司が部下の実際(普段、お客様にどのように接しているか)を推測できる。
・間違って覚えていたり、誤ったやり方をしたりしていることを明らかにできる。
・互いに良い点を真似たり、良くない点を反面教師としたりすることができる。
・様々なケースを疑似体験することにより、経験不足を補うことができる。

これらは、座学や本では得られないロールプレイならではの効用と言えるでしょう。『部下がどんな営業をしているか不安』『いいところを互いに共有したい』『場数を踏ませたい』と思っておられる方には、是非、試みていただきたいと思います。一方で、「ロールプレイをやったからって、そんなに売れるようになるの?」という声も聞きます。もちろん、1回やっただけで急に売れ始めるようなことはありませんが、上手にこれを積み重ねていけば、例えば「成約率が数パーセント上がった」などの結果が出てきます。数パーセントと言っても、売上や利益、集客コストに与える影響を冷静に計算してみれば結構大きいことが分ります。

「ロールプレイの効果が全く実感できない。」という方は、そのやり方を見直してみてください。効果のないロールプレイは、だいたいの場合”商品知識の有無を確かめる”ことを目的としたテストのようなものになってしまっています。間違ったことを言っていないか、お客様の質問によどみなく、正確に答えているかをチェックすることが目的になっているので、ペーパーのテストをやっているのと大差ないわけです。これでは、ロールプレイの効果を得ることはできません。

ロールプレイ研修を効果的なものにするポイントは、以下の5つです。

1.見る(評価する)観点をシートにする。
ロールプレイで何を見るかを3~5つ程度決めて、それをシートにします。顧客役と営業役以外の人は、それを手元においてメモをとりながらロールプレイの様子を観察します。その評価を点数やランクにしてもいいでしょう。評価項目は、好感度や熱意、分かりやすさ、立ち居振る舞いなど、自社の営業として大切なことをラインナップします。もちろん商品知識という項目があっても良いでしょう。この観点を変えれば、また異なった目的を持ったロールプレイ研修が実施できますし、多様な観点からレベルアップを図ることができるというわけです。

2.リアリティーのある設定作り
「このような背景とニーズを持ったお客様がやって来る」「何回目の接触である」、「前回の商談ではこういう話になった」「今回の営業の目的はこれである」といった設定を具体的に行ないます。そして、その設定を観察者も含めて皆で共有してから開始することが大切です。初回の訪問、クロージング、お客様の状況など様々な設定を行い、難易度も変えながら継続的に実施していきます。

3.ロールプレイヤー(顧客役)の役作りと演技力
営業する役の人がそのロールプレイに心から入り込み、結果として、普段のその人の姿や実力が露出しなければやっている意味がありません。そのためには、ロールプレイヤーが顧客役を上手に演じることが不可欠です。設定を頭に叩き込み、事前にイメージをふくらませ、営業役がロールプレイであることを忘れてしまうほどのリアルな演技が求められます。基本的には、経験豊富な方がその引き出しを使って、顧客役を演じるのが良いと思います。

4.本気
ロールプレイは現実ではありませんし、周りで皆が見ていますから何となく恥ずかしい、照れくさい気になるものです。演者同士が遠慮しあったり加減しあったりして、実際には有り得ないような適当なやりとりで進めているのもありがちな光景ですが、目的に照らせばそういうロールプレイは意味がありません。そんなときは主催者がすぐに中断させて最初からやり直させるくらいのことが必要になります。

5.率直で、忌憚のないフィードバック
観察者はロールプレイ終了後、事前に定めた評価の観点に基づいて、メモしたことをもとに営業役(対応者)にしっかりとフィードバックを行います。気づいたこと、感じたことを細かなことでも本人に伝えます。もちろん、改善すべき点だけではなく良かった点、見習いたい点も伝えることが大切です。

以上、営業のロールプレイについて書きましたが、他の職種にももちろん使えるノウハウですし、例えばマネジャーの部下との面談などにも応用が可能です。

川口雅裕

川口雅裕

川口雅裕かわぐちまさひろ

NPO法人「老いの工学研究所」理事長(高齢期の暮らしの研究者)

皆様が貴重な時間を使って来られたことに感謝し、関西人らしい“芸人魂”を持ってお話しをしています。その結果、少しでも「楽しさ」や「気づき」をお持ち帰りいただけていることは、講師冥利につきると思います。ま…

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