イスラエルガザ軍事侵攻による犠牲者が5万4000人を超えました。イスラエル軍は地上戦再侵攻と同時にガザ領内への食料搬入に制限をかけガザ全域が飢餓状態に陥っています。被害状況を伝えるパレスチナ人記者や医療関係者、国際赤十字職員も攻撃にさらされ情報発信経路は遮断されました。
ガザの惨劇を受け世界各国が戦闘の停止を要求しています。これまでイスラエル支持を続けたドイツがイスラエル軍によるガザ住民大量殺害への非難声明を発表。ホロコーストというユダヤ人大虐殺の歴史をもつドイツのメルツ首相はハマス壊滅を掲げたガザ住民の殺害が常軌を逸していると発言。イギリス、フランス、カナダも過剰な住民殺害を非難し攻撃の即時停止を要求しました。イスラエルのネタニヤフ首相は人質解放とハマス壊滅の軍事行動は正当な安全保障の権利であると反論しています。
戦闘停止を巡ってはすでにアメリカトランプ政権がガザ停戦要件をハマス側に提示。その内容は60日間の戦闘停止と人質の完全解放。対するハマス側がイスラエル軍のガザ完全撤退と恒久的停戦保証を要求したことでイスラエル政府は絶対条件として人質生存者20名の解放とイスラエル軍によるガザ全域支配、人道に配慮した住民管理体制構築を突きつけました。
イスラエル軍は継続的にガザ全域の避難施設を爆撃しておりネタニヤフ首相が掲げるガザ制圧は時間の問題と指摘されています。ガザの境界線は地中海沿岸部を含め全てイスラエル軍統制下に置かれており外部からの救援支援物資搬入はイスラエル軍の検閲で事実上足止め。ガザ全域の70%は立ち入り禁止区域としガザ南部と北部それぞれの住民避難地域は全てイスラエル軍に包囲されています。その住民避難エリアへの爆撃も確認されました。
ガザ軍事侵攻がパレスチナ自治区ヨルダン川西岸地域に連動していることにも注視が必要です。イスラム過激派組織排除を目的にイスラエル軍、警察、ユダヤ強硬派組織がパレスチナ住民襲撃事件を引き起こし国際法違反である西岸地域へのユダヤ人入植活動の拡大を続けています。ユダヤ入植活動拡大政策とは武力によるパレスチナ自治政府地域の略奪宣告であります。こうした暴力の連鎖を確認するため現地を訪れた欧州や日本の外交訪問団に対してもイスラエル軍が警告発砲に踏み切ったことが判明しました。世界各国が非難声明を突きつけるもイスラエル政府は反発。武力による主権地域の占領を既成事実化させる動きが加速しています。停戦の兆しは全く見えていない現状であります。
渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
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