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2012年03月01日

大学生成長度テストを考える

 最近目にしたニュースで、個人的見解として”賛成”と思った項目があります。「大学生の成長度テスト」のことです。この件については導入の仕方や、意味、効果の点で賛否が大きく分かれると思います。

(記事抜粋)”大学生の「能力測定」と位置づけ、年に1回、読解力、論理的思考力、批判的な思考力、文章表現力などを問うことを想定。大学の講義にどれくらい主体的に参加しているかといった学習態度のアンケートも課す。同じ学生が2度受ければ、成長度を「可視化」できると期待する。”

 私個人としては恥ずかしながら、学生時代は特にスポーツに打ち込んで目標にまっしぐらと言った感じで、正直なところこのテストが実施されていたとすれば、成長は期待できなかっただろうと思います。なので、実施されると想定してそれに該当する世代の学生の方々からは「自分の時代のことは棚に上げて!」とか「自分達の世代から損な役回りばっかりだ」、あるいは「就職氷河期の今、勉強に時間を割かれて就活に支障が出る」という声が上がるかもしれません。

 ただ、思うのです。今後の日本には、若い世代の能力が財産です。若い世代が視野を広げ、どんどんコミュニケーション能力を伸ばし、活躍することが必要です。このままでは人口が減り続けるという試算が出た日本。背負わされる世代の身にもなってよと、こんな声も漏れ聞こえてきそうですが、現状のまま動かなければ、実際に待っているのは想定よりもひどい未来の状況かもしれません。社会に出る前に、そう、学生の期間中に、世界に負けない底力を、志を持ってもらいたいのです。

 一方で、経済活動バリバリの現役世代は何をしないといけないのか?というと、世界との激しい競争にも打ち勝つ経済活動をしながら、次代の能力を伸ばす環境をも同時進行で整備しないといけないと思います。どんな世代も止まっている場合ではないのです。

 グローバル化が進み、インドや中国が経済的にも台頭してくる中、日本は自国の成長だけを考える時期は過ぎ、さらに震災からの復興という大きな課題も抱えています。世界の中でリーダーシップを発揮し発信し存在感を示す、このようなことを担って下さっている方が今、現に日本にもいらっしゃるから、政治が停滞していても日本の国民生活がかろうじて成り立っています。これからは全員が「その役割を担うんだ」という強い想いで取り組んでいかなければならないギリギリのところまできてしまっているのではないでしょうか。

 なんだか私ったら、まるで政治や経済の専門家の方がお話になるようなことを書いておりますが、おそらくこれは昨年に引き続き参加させて頂い「G1サミット」による影響が大きいかと思われます。相当刺激を受けて帰ってきました。

セッションの内容は多岐に渡りますが、どのテーマであっても行きつくところは、日本の教育についてでした。大学生世代のみならず、日本の初等教育から制度全体が大転換されるぐらいのものが必要とされています。セッションで挙げられた外国の教育システムの在り方などの事例を聞くと、子供の頃からまず問いかけの仕方が日本とは全くの別物です。

以前から、ずーっと言われていることですが、日本のように一つの答えを導き出す方式の問いかけではなく、外国では小さな小さな頃から、トークテーマを与え、自分の考えや、理念、想像を言葉にさせる発言の場がとにかく多く、これによって要は大学生成長度テストの内容に盛り込まれるという「読解力」、「論理的思考力」、「批判的な思考力」、「文章表現力」などの素地が、日本の子供達よりはるかに早く出来あがっています。

 さらに大学に進めば、この素地をより磨ける環境に身を置くことができます。今や世界の一流大学と言われるところには、世界の何十カ国という地域から精鋭の頭脳が集まり、異文化の学生同士で激論を交わし、友情を育ませ、貪欲に切磋琢磨しています。日本の学生の方にとっては厳しいかもしれませんが”入るより出る方が難しい”といわれるカリキュラムで能力を磨きに磨きまくって卒業するということをされています。

日本でも独自にカリキュラムを導入し子供達の未知なる能力開発に取り組んでいらっしゃるところもありますが、もっと日本全体の流れとしてそれが主流であればグローバル化が進むこの世の中でも日本の良さや強みをより生かせるチャンスに食い込んでいけるのではないかと思います。そしてもう一つ。やはり語学力。これに尽きます…。私も色んなところで「英語の勉強進めます。」と豪語しているにもかかわらず、あまり捗っておりません。改めてこの気持ちの熱いうちにネジをまかなければと思うところです。

 最後に、自分自身が思うことばかりを書かせて頂きましたが、口で言うばかりではなく、私も自分ができることを行動に起こさないといけないと思っています。まだ具体的には言えませんが、私の中に芽生えている志を行動に移すべく取り組みたいと思っています。若い世代の皆さんにとっては、夢を持ちにくい世知辛い世の中になっていますが、既存の組織の枠組みにはまっていくばかりが道ではなく、その分、知恵を絞って、想像力を働かせ、誰もがやっていない分野の開拓者にもなれると、前向きに主体的に生きて頂きたいと思います。

武田美保

武田美保

武田美保たけだみほ

アテネ五輪 シンクロナイズドスイミング 銀メダリスト

アテネ五輪で、立花美哉さんとのデュエットで銀メダルを獲得。また、2001年の世界選手権では金メダルを獲得し、世界の頂点に。オリンピック三大会連続出場し、5つのメダルを獲得。夏季五輪において日本女子歴代…

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