2011年09月01日

教え子のオリンピック初出場を見守る

 つい先日、夏休み最後の週に『全国ジュニアオリンピック水泳競技大会シンクロナイズドスイミングの部』が富山空港に隣接する県立プールで開催されました。私が1年半ほど前から指導のお手伝いをさせて頂いているシンクロの子供達も、なんと!今年度のブロック予選で標準得点を突破することができ、この全国大会にクラブ創部以来初めて出場できるという、小さいけれど大きな快挙を成し遂げ、いざ富山に乗り込んで参りました!

 行った初日は公式練習日。各クラブ、時間が割り当てられ、1曲通しが1回だけという限られた中で子供達の動きをチェックしました。何せ子供達にとってはこの出場者数の多さやタイムスケジュールの慌ただしさも何もかも初めてのことばかり。萎縮したりしないよう、前夜にミーティングで当日の行動パターン、例えば「人が多いけども堂々と真ん中でしっかりウォーミングアップするように」などと、とにかくやるべきことと心構えをいくつか絞って話してはいたものの、プールに行くと完全に目が泳いじゃってました。あちゃーです。

「泳ぐのは"目"じゃなくて、あなた達が泳ぐんやでっ!」と子供達に突っ込みを入れたかったところですが、雰囲気に慣れるまでゆっくり時間をかけている暇はないので、とにかく通常通りのウォーミングアップメニューを指示し、いつもと変わらない声のかけ方、いつもと変わらない基礎練習、いつもと変わらないそれらに割く時間のかけ方を徹底して行い、曲掛けの割り当てが回ってきた頃には、何とか子供達の目にも力が宿ってきて曲掛けも繰り返し練習してきた成果が実り、その出来栄えは明日の本番に期待が持てるものでした。

ところが・・・。

私には、懸念することがありました。ブロック予選で本戦出場が決定するはるか前、それこそ半年前からある仕事のオファーを頂いていてその決定していた日程と、この本戦の予選の日程と重なってしまっていたのです。全国大会に行けることが決まった日に「もしかして・・・」と嫌な予感はあったのですが見事的中!12歳以下の年齢区分の競技スケジュールが8月の2週目ぐらいに出ました。確認してみると、まさにドンピシャ。子供達に立ち合ってあげられないことが確定してしまった訳です。

一番緊張する日に担当のコーチがいないということの心細さは、当然私も知っています。なので子供達の不安を少しでも軽減できるように、小さい頃から子供達のことを知っている、クラブのコーチの母とも言われる先生に、練習の時からずっと近くで見守っておいて頂いて、そして当日も同様にして頂いて、私は子供達に「パワーを全部置いていくからね。絶対大丈夫!」と手を握って富山をあとにしました。

彼女たちなりに一生懸命試合に臨んだと思います。経過報告の連絡を取り、ドキドキしながらも無事仕事を終え再び富山に戻ってきました。が、結果は・・・。

ついて下さっていた先生からのお話しによると、子供達は相当緊張してしまったようです。想像以上に競技運営のペースが速く、メイクのお直しや髪飾りをつける準備時間がゆっくりあるだろうと思っていたところ、非常に慌ただしく試合に臨まなければならなくて焦りと緊張とで頭の中が真っ白になったため、練習通りの演技ができなかったという報告でした。ビデオで演技を確認しましたが、あらら・・・。直っていたはずの課題がまた再発していました。子供達もうまくできなかったのが自分でもわかったようで、演技直後「武田コーチの注意がいっぱい直せなかった」と全員号泣だったという(苦笑)。

なんだか微笑ましい話ですが、しかしここで感じたのは『この子達が緊張に打ち勝ってくれるために、もっと何を伝え、どんな自信をつけさせてやればよかったのか?』という疑問です。緊張の克服方法って正直答えはないと思うんです。私も最後まで明確な答えはわかりませんでしから。それぞれの選手が色んな舞台の経験を積み、その中で成功、失敗を繰り返して、自分なりのコントロール方法を見つけていくしか術はないのですが、私が唯一言えるのは、緊張は全部無くすより、むしろ持っていた方が良いということです。

緊張によって普段はなかなか出すことができないアドレナリンなどの物質が脳内に分泌され、素晴らしい筋肉の張りや爆発力のある動きができるようになります。あとはそのさじ加減の問題になります。根性論の話になりますが、「あんなにやったんだから大丈夫」と自分が自負できるまで練習を徹底的に行うことや、取り組むその量でカバーするしかないところも出てきます。今回出場した子供達も、大きな経験を積みました。また私も、練習量に裏打ちされた自信をもっとつけてやらなければならないという反省と、それとはまた別の新たな方法を子供達の成長と共に見つけていければという思いになりました。

出来はそれぞれ思うことはありましたが、実際の評価は、ソロの選手が規定(フィギュア)を受ける権利が得られる12位までのうちの11位に入り、翌日フィギュアを受けましたが順位は変わらず11位となりました。ただこの選手は日本人としては珍しいぐらい関節が柔らかく非常に柔軟性に優れた筋肉をしているので、ひときわ異彩を放っていたようです。残念ながら決勝に進むことはできませんでしたが来季に向けてモチベーションが上がる確かな手応えはあったように思います。

私が選手時代にお世話になった多くの審判員の先生や他クラブのコーチからも「美保ちゃんところ初出場ながら頑張ってるね~!将来楽しみな子がいるね~。構成も素敵やったよ!すごく印象に残ったよ!」と嬉しく有難いコメントを頂きました。デュエットの2人の選手は34組中15位で12位までに入れなかったのですが、プレスイマーとして抜擢され全国大会の大観衆の中で行う大会の雰囲気をしっかりと経験することができました。

私も欲張りになってきます。決勝に毎年必ず残るチームにクラブを持っていきたい、と。とはいえそうなるためには今の練習の環境や、システム自体を見直さなければならないのでこれはもう一大プロジェクトです!地方クラブの運営基盤では難しい部分もありますが、少しずつでもいいから確実なステップアップをしていこうと思います。頭を絞って強化方法と緊張の克服法考えます。また成果がでてきたら、報告させて頂きたいと思います。