2017年08月10日

日欧EPAと日本経済(地域産業)の振興

 この度、日本と欧州連合(EU)が経済連携協定(EPA)の大枠合意に達しました。これにより日本経済の一層の活性化、および地域産業の振興が期待されます。今回は、日欧EPAについてふれてみます。

EUと日本、EPA

 EUはドイツ、フランス、イタリアなど28ヶ国によって構成されており、総人口は約5億人です。EU全体のGDPは米国に匹敵する大きさです。2016年の日本とEU間の貿易総額は、中国、米国に次いで3番目に大きい額ですので、日本にとってEUは極めて重要な貿易相手です。
なお、FTAも自由貿易協定の一つですが、FTAは特定の国や地域との間でかかる関税や企業への規制を取り払い、物やサービスの流通を自由に行えるようにする取り決めのことです。
対して、EPAは物流のみならず、人の移動、知的財産権の保護、投資、競争政策など様々な協力や幅広い分野での連携で、両国または地域間での親密な関係強化を目指す協定です。TPPもEPAの一つです。
ただ、名称よりも協定の中身が重要です。FTAでも細かく協議して協定を結んだ場合には、EPAに近い内容の協定である場合もあります。
既に日本はオーストラリアやチリ等、15ヶ国と二国間EPAを締結しており、現在は数ヶ国と交渉中です。

EUからの輸入品で関税の撤廃もしくは軽減される主な物品

 EU産のワインやチーズ、パスタ、チョコレート菓子、豚肉、バッグや革靴などの輸入関税が撤廃もしくは削減されます。具体的には、ワインにおいては価格の15%もしくは1リットル当たり125円が撤廃されます。豚肉は低価格帯で1kgあたり482円が、50円以下になる見込みです。現行の関税率が最高30%のバッグや革靴は、一定の期間後に撤廃されます。
なお、外国から日本に輸入される自動車の現行の関税率は0%です。従って、日欧EPAが発効しても、ドイツ車などの日本国内での販売価格と直接関係はしておりません。

日本からの輸出品で関税の撤廃もしくは軽減される主な物品

 日本の自動車、家電、日本酒、和牛肉の関税が撤廃もしくは軽減されます。具体的には、自動車に10%の関税がけられていますが、協定発効後7年を目処に撤廃の見込みです。家電は最大14%の関税がかけられていますが、ほぼ撤廃されます。日本酒については、100リットルあたり最大7.7ユーロの関税がかけられていますが撤廃されます。世界で日本食がブームになっておりますが、今後はEU向けの日本酒や和牛肉の輸出が増加することと期待されます。

日欧EPAでメリットを受ける産業

 自動車、機械、電機等の製造業においては輸出の増加が期待できます。また、EU産の豚肉やワイン、チーズ等が安く輸入することができますので、スーパーやコンビニ、一般商店などの小売業界では、商品の値下げに伴い消費が喚起され売上増につながります。食品加工やレストラン、外食チェーン、飲食業、さらに食事を提供するホテル、旅館等もメリットを受けます。その他、バッグや革靴の関税率が下げられますので、ブランド品ショップや百貨店等の売上が増える可能性があります。
なお、日欧EPAの影響を受ける畜産農家や酪農農家等に対しては、国が責任をもって救済策を取る必要があります。

日本のワイン産業への影響

 自由貿易協定による個々の産業への影響は、単に関税率のみでは判断できない場合があります。ワインを例にとって影響を考えてみます。
EU諸国では有名なブランドを持つワインが生産されています。関税の撤廃によりEU産のワインの価格が下がり、輸入量が増えることが予測されます。一般的な750ミリリットルのボトルで最大約93円の関税がなくなります。関税面から見ますと日欧EPAは国内のワイン生産産業にはデメリットに思えます。
しかし、かつて輸入ウイスキーの関税が大きく軽減されましたが、輸入ウイスキーが国産ウイスキーを凌駕するというような事は起こりませんでした。国産ウイスキーの販売力が強かったことが大きな要因だったかもしれません。
ワインの場合は、EU産のワインが安価に輸入されることにより、ワイン文化がさらに発展して、国産ワインも一層消費されることが期待されます。なお、日本から輸出されるワインの関税も撤廃されますので、日本産のワインのEU諸国への輸出が増える可能性が十分にあります。

日欧EPAへの期待

 内需の強い日本はGDPの輸出依存度は11.4%ですが、韓国ではGDPの43.4%を輸出に依存しています。そこで、韓国では米国やEUと自由貿易協定(FTA)を締結して輸出を増やす事に努めました。そこで、韓国は2011年にEU韓国自由貿易協定を締結しました。その結果、自動車、自動車部品、化学製品などの輸出量が増加しました。同様に、日欧EPAの締結は日本の工業製品のEUへの輸出の増大が期待されます。
自由貿易の推進は、工業立国の日本に大きなメリットをもたらします。中長期的に日欧EPAのメリットを活かして、日本経済の発展につながることを期待致します。