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2023年07月21日

SDGsビジネスと企業ブランディング

日本で本格的にSDGsの取り組みが始まって既に7年が過ぎ、現在では多くの企業がSDGs活動に参加しております。SDGsを推進する国連は企業活動とSDGs活動が合致することは望ましいこととして推奨しています。今ではSDGsビジネスの展開が数多く見受けられますが、ほとんどの企業はSDGsによる企業ブランディングの観点からの取り組みです。
今回はSDGsビジネスと企業ブランディングの動向に触れ、いくつかの事例を紹介いたします。

企業によるSDGsのロゴ、アイコンの使用

日本では大企業から中小企業に至るまで、多くの企業はSDGsの取り組みをホームページや事業計画書、事業報告書などで公表しています。営利等の目的でない情報目的の場合、SDGsのロゴやアイコンは自由に使用でき、ホームページや報告書等に表示されています。
企業がSDGs活動を行い、それをホームページなどで公表する結果、企業価値が高まります。これはSDGsによる一種の企業ブランディングであり、また広い意味でのSDGsビジネスと考えられています。
企業が自社のブンランドを高めることによって企業イメージを向上させるとともに、企業や商品、サービスへの信頼性の向上が図られます。その他、新規市場開拓、社員のモチベーションアップ、外部環境による影響を抑制できるなどのメリットがあります。

SDGs活用ビジネス、商品の販売促進

SDGsを活用したビジネスの主たる目的は、商品やサービスの販売促進と、それを有利にする企業ブランディングです。販売促進の具体的な例としまして、次のような方法が考えられます。

  1. CO2排出権付きの製品をSDGsに適うものとして販売の促進を図る
  2. 既存の環境マーク・ラベルを取得し、当然SDGsに適う製品として販売促進を図る
  3. 会社のホームページにSDGsの目標に適う製品を公表し、販売の促進を図る

インターネット通販における事例を三件紹介します。O社が運営するWebサイトにおいて、「持続可能な社会のために、エコな商品選びから始めよう、SDGsここからスタート」と商品を宣伝・紹介しています。具体的に的には、「SDGsの取り組みが難しいと思っていませんか? SDGsは会社でいつも使っているものから目を向けることで、取り組みがはじまります。ここでは、持続可能な社会のために今すぐ取り組める環境に配慮した商品をご紹介します」という記述があります。
店頭で好きな商品を見つけて購入する場合、なかなか個々の商品とSDGsの関連性を知ることはできません。その点、インターネットを通しての購入の場合、その商品とSDGsの関連性をよく理解しながら購入することが可能です。
次に、E社はインターネット通販で販売促進用の商品を売っています。一部の商品にはカーボンオフセット(CO2排出権付)対応商品で、商品1個につきCO2排出量が0.5kgオフセットされ、間接的に地球温暖化防止に貢献しています。そして、Web上の商品紹介でCO2排出権付商品にはSDGsのマークを表示しています。CO2排出権付商品以外でも、SDGsの17の目標のいずれかに適う商品はSDGsに対応したグッズとして、商品説明に記述しています。
その他、再生PETユーティリティバッグの商品説明において、「素材には100%リサイクルPET素材が使われており、バッグの口元に再生PET生地であることを証明するタグが付いています。SDGsに貢献するエコアイテムとして、是非ご利用ください。」という内容の記述があります。
総合化学会社のDN社では、ホームページに自社の個々の製品がSDGsのどの目標に貢献するかを一覧表で掲示しています。電子・先端プロダクツ部門、ライフイノベーション部門、エラストマー・インフラソリューション部門、ポリマーソリューション部門の4部門の60品目以上の製品が紹介されています。
SDGsの目標、製品名、用途、効果などが分かりやすく表示されていますので、購入者は製品を買うことによってSDGsのどの目標に寄与しているかを知ることが出来ます。

環境認証マークとSDGsとの関連付け

日本において様々な機関で環境認証マークが制定されています。例えば、エコマークは、環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品に、再生紙使用マークは、再生紙の利用促進と普及啓発をしていくためのシンボルマークです。また、FSCマークは、適切に管理されている森林から伐り出した木材を原料としている商品に、グリーン購入法適合マークは、国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)に適合した商品にマーク使用の認証が与えられています。
SDGsと商品を直接結び付けるのではなく、上述の様な環境認証を得た商品が、SDGsの目標に適うものとしてアピールし、商品の販売促進を図る例も見受けられます。
D社は、半透明で耐水性のある紙製のクリアファイルを販売しています。この紙製のクリアファイルは、適切に管理されている森林から伐り出した木材(FSC認証紙使用)を原料としており、またプラスチックは使用しておらず、環境に配慮された製品になっています。商品紹介のホームページで、SDGsのアイコンなどを多数表示し、SDGsに適う商品とアピールしています。
次に、OP社が取り扱うバナナペーパーはSDGsに適う商品として、Webサイトに下記のような内容の記述がなされ、販売されています。
「日本初フェアトレード認証の紙であるこのバナナペーパーは、2021年クライメート・ポジティブの紙になりました。SDGsの17目標すべてにつながっています。日本の越前和紙の工場とアフリカのバナナ農家や村の人々とのコラボで生まれ、人、森、野生動物を守る紙です。名刺や包装紙、紙ハンガー、紙袋、大学の卒業証書をはじめ幅広い商品に使われています。 現在、世界15ヶ国で展開しています。」

ハローキティ(サンリオ)のSDGs応援

ハローキティ(サンリオ)は2018年9月よりSDGsのゴールに向かって日本で活動している人たちを応援しており、また、2019年9月には国連本部と一緒に世界中にSDGsを紹介する活動をしています。より多くの方々にSDGsのことを知ってもらえたり、意識してもらえるきっかけになることを願って、国連とコラボレーションし環境に配慮した素材を使ったオフィスや学校で使いやすいグッズを作って販売しています。
ハローキティのSDGs活動は、自社の商品の販売促進というよりも、国連のSDGs活動を積極的に応援するという姿勢を強く感じられます。

日本の企業においては、SDGsの取り組みの主たる目的は、企業価値の向上や企業の社会的責任を果たすことです。言い換えれば、企業ブランディングの強化です。また、SDGsの目標達成に貢献できる商品の販売を進めることも価値あるSDGs活動です。
企業が積極的にSDGsに取り組むことにより、地球社会の課題の解決が図られるとともに、併せて企業の一層の発展が遂げられることを期待致します。

進藤勇治

進藤勇治

進藤勇治しんどうゆうじ

産業評論家

経済・産業問題、エネルギー・環境問題、SDGs、コロナ問題をテーマとした講演実績多数! 経済・産業問題やエネルギー・環境・災害問題、SDGs、コロナ問題などについて最新の情報を提供しつつ、社会…

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