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コラム 政治・経済

2020年06月10日

新型コロナウイルス後の企業の課題と対策

新型コロナウイルス感染症の終息後においては、国民生活を護るために経済の立て直しが最重要課題です。未曽有の危機から経済回復を果たしていく過程で、日本においてどの分野の産業が伸びていくかを考えることにより、新たなビジネスチャンスも捉えることができます。

また、いずれの企業も事業計画の見直しや社内体制の変革や再編などを的確に行うことにより、感染症後の難局を乗り越えて新たな成長が図れます。

今回は感染症後の事態に対処するための課題と企業が取るべき方策についてふれてみます。

日本経済の動向

現在、米中は新型コロナウイルスの感染源をめぐり鋭く対立しており、排他的風潮の強まりや世界の分断が一段と加速する可能性があります。世界の各国では失業者が増加しており、所得格差が拡大している状況です。一方、パンデミックの教訓から、世界でデジタルシフトが一気に進み、新ビジネスが創出される可能性が大きくなっています。

日本においては緊急事態宣言の影響で日本国内の経済活動は大きく制限されました。もちろん、日本も世界的な人やモノの動きの遮断や国際金融市場の不安定化などの影響を受けています。しかし、外出規制などで需要は蒸発しましたが潜在需要は残っています。感染拡大の間に企業において、資金繰りや雇用が維持できて危機を乗り越えた企業は終息後に比較的スムーズに社業回復ができることでしょう。

日本では2011年に東日本大震災という大災害に直面しました。地震・津波による経済損失が約20兆円、原発事故による被害額も約20兆円と推算されています。

しかし、今回の新型感染症では拡大防止のために人為的に様々な経済活動が抑制されたわけであって、ビルや工場、インフラなどに物理的な破壊が起きたわけではありません。従って、感染症終息後には経済活動が早期に回復すると思われます。世界的にも2020年の経済成長はマイナスに落ち込みますが、2021年には回復するという多くの予測があります。

感染症拡大と業界の動向

感染症拡大の難局によって新たなビジネスチャンスも生まれます。このチャンス活かして企業の発展を図ることができます。

まず、株価の変動から当面の業界・業種別の動向を見てみます。株価が上昇した業種は医薬品、医療関連製品、保険業などです。対して株価が下落した業種は空運業、鉄鋼業、関連金融業などです。航空機リースが打撃を受けておりリース関連企業の下落が目立ちました。

次に、消費面から伸びた業種を見てみますと、食事の宅配サービス、生協の食品や日用品の宅配サービス、インターネット動画配信などの売上が増加しています。

株価が上がった医療、保険関係の業種は、感染症に対する国民の意識の変化を反映して、今後も重要な業種として注目されることでしょう。しかし、過去の経済危機事例を振り返りますと一時的に株価が下落した業界も、経済の回復に伴って株価も元に戻っていくことになります。また、売上が上がった業種についても、感染症拡大による一時的なことかどうかも見極める必要があります。

テレワークとオンライン利用の促進

緊急事態宣言がなされて日本ではテレワークやオンライン利用が進められました。これが一時的な現象ではなく、今後のビジネスの進め方や教育に至るまでの国民生活に大きな変化を及ぼす可能性があります。

例えば、デジタルシフトによって感染症や自然災害に強い社会を構築、医療機関のオンライン診療導入により遠隔診療や遠隔投薬の適用範囲拡大、オンライン活用でテレワーク勤務、企業の人材育成、学生の自宅学習の支援、給付手続きのオンライン化などのデジタルガバメントの促進などです。

リモート医療やテレワークを強化できる5Gの普及と応用も益々加速されるでしょう。なお、テレワークにはインターネットが重要なツールです。会社内の場合は高度なセキュリティー対策が取られていますが、自宅では十分ではありません。自宅のインターネット環境のセキュリティー強化も今後積極的に図られていくでしょう。

テレワークを行うことで、企業においては在宅でも十分に仕事を進めることができる部門・部署があると認識するようになりました。社員同士の人間関係の構築をどうするかなどの課題がありますが、出社とテレワークを適度に組み合わせるなどの方策が考えられます。業種によりますがテレワークをかなり増やすことができる場合は、オフィススペースを小さくすることができ、オフィス賃貸料の軽減もできます。

なお、当然ながらテレワークに馴染まない業種がありますし、また一般に大きな企業ほどテレワークを行いやすいということも含めて、今後のテレワークのありかたを考えていく必要があります。

企業の取組むべき課題と対策

今回のパンデミックは個々の企業に様々な影響を与えています。感染症拡大後を乗り切るためには、企業は次のような課題について的確な対策をとらなければなりません。

  1. 事業の見直し再編:事業環境の大きな変化の中、中期経営計画および年度計画や予算の見直しを行うなど。
  2. 組織や人員体制の再構築:テレワークの経験も活かし、一層の効率化、スリム化の進めるなど。
  3. 人事制度の再構築:危機対応で発生した課題をフォローして、今後の対策の掘り下げなど。
  4. 現業部門と間接部門の業務改革:バリューチェーンやサプライチェーンの見直しや、情報システムとの連携、テレワークの流れを活かした改革など。
  5. 情報システムの整備強化:デジタルトランスフォーメーションを推進して、全体最適化を図るなど。
  6. リスクマネジメントの再構築:感染症対策を含めたERMの構築、自然災害に重きをなしていたBCPやBCMを感染症を十分に考慮して再構築など。

感染症直後は行政の給付金などの様々な支援と、金融機関からの緊急融資などを受けながら危機を乗り越えていくことになります。しかし、危機対応が一段落すれば金融機関独自の債務者の区分や引当の判断が徐々に行われるようになります。企業が実績の財務状況のみならず、経営の方向性や事業の見通しなどを金融機関と積極的に共有することで、金融機関の目利き力を引き出していくことが今後極めて大切な事です。

危機を乗り越えて新たな成長を

新型コロナウイルス感染症がいつ完全に終息するかということは現時点では予測がついていません。ワクチンが開発されるまでは事態が続くという厳しい見方もあります。ワクチンが開発され、安全が確認され、そして接種・服用されるまでは通常4年程度かかります。なお、トランプ大統領はワクチンの年内実用化に向けて全力で開発していくことを表明しています。

私はこれからも今回のようなパンデミックが起こる可能性は高いと思います。1900年には世界の人口は約16億人でしたが、現在は77億人をこえています。人口が増えれば人類が強力なウイルスに遭遇する確率が高くなります。また経済の発展でビジネスや観光の旅行を行う人が増えて危険なウイルスがより早く、より広い範囲に伝播します。今回のパンデミックは一時的に偶々発生したことではなく、これからはよく起こりえる現象と認識して将来に備えることが企業防衛のためにも重要ではないでしょうか。

戦後日本においては好景気と不況の繰り返しを何度も経験しました。不況を乗り越えた企業は強靭さを増して日本の高度経済成長を支えました。そして今の日本があります。

新型コロナウイルス感染症という厳しい環境下で、ビジネスシーンから退場せざるを得ない企業もあることでしょう。苦しい環境の中で社会や市場の変化を見極めつつ、自社の改革や再構築を的確に行うことにより難局を乗り越えることができ、さらには一層の社業伸展を達成できることと思います。

進藤勇治

進藤勇治

進藤勇治しんどうゆうじ

産業評論家

経済・産業問題、エネルギー・環境問題、SDGs、コロナ問題をテーマとした講演実績多数! 経済・産業問題やエネルギー・環境・災害問題、SDGs、コロナ問題などについて最新の情報を提供しつつ、社会…

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