2019年03月11日

地震災害と対策課題

昨年9月に最大震度7の北海道胆振東部地震が発生しました。この地震では強震動によって厚真町を中心に広い範囲で土砂崩れが発生して、多くの犠牲者が出ました。また、北海道全域で停電が発生しました。近年日本では地震被害が多発しています。今回は大地震とその対策課題について触れてみます。

地震対策と行政・自治体の責任

地震はプレートの移動によって引き起こされます。日本列島は太平洋プレート、北米プレート、大陸プレート、フィリピンプレートが接する場所にあり、日本は世界一の地震国と言われています。

近い将来に発生すると予測される地震、すなわち逼迫している地震として、現在首都直下地震(東京都)や東海地震(静岡県)が警戒されています。さらに、東南海沖地震(中部沖~四国沖)も逼迫した危険性が指摘されています。

昨年夏にこれらの地震についてその発生確率に関する新しい調査結果が発表されました。今後30年以内に震度6弱以上の地震が起こる確率について、首都直下型地震が70%、東海地震が87%となっています。図にその調査結果を示します。

今後30年以内に地震が発生する確率 (資料:文部科学省 地震調査研究推進本部)

首都直下型地震が懸念される関東の地域は、4つのプレートが接するところで、地下の構造は複雑です。単純に活断層型もしくは海溝型の地震と区分けはできません。ただ、直下型の地震はマグニチュードが大きくなくても、大きな被害が発生します。

東海地震や東南海地震、南海地震は海溝型地震です。海溝型地震は太平洋の中で発生しますが、通常マグニチュードが大きく、さらに大津波の発生を伴います。

さて、東海地震や首都直下型地震の切迫性が指摘されていますが、これらの地震に対して行政は十分な対策をとっているようには見えません。建物や高速道路などの耐震化工事や、地震に強い強固な建物の建設が望まれます。

大きな地震が起きた場合、市役所や区役所は避難場所になったり、震災対策の拠点になります。熊本地震の際に、震源地の益城町の庁舎は耐震強度不足が懸念され、多くの被災町民の方々は町の庁舎には避難できず屋外で寒い夜を過ごさなければなりませんでした。震源地に近い宇土市では庁舎が損傷して立ち入り禁止区域となり、通常業務が停止しました。

近年、市役所や区役所、体育館などの新築はお金の無駄遣いとされ、古いままで使う風潮がありますが、災害が起きたときに困るのは市民や区民です。庁舎のみならずスポーツ施設や文化施設なども造る機会があるのであれば、将来の防災対策を兼ねてしっかりと造っておくとよいでしょう。これらは発災時の避難場所や物資備蓄場所、災害対策拠点などになります。熊本県地震では、陸上競技場が支援物資の集配所として大きな役割を果たしました。

耐震基準の強化と古い建物

1978年の宮城県沖地震の後、1981年に建築基準法施行令の改正が行われ、一次設計、二次設計の概念が導入されました。さらに、1995年の阪神淡路大震災の発生の後、2000年に建築基準法及び同施行令の改正が行われ、性能規定の概念が導入されました。構造計算法として従来の許容応力度等計算に加えて限界耐力計算法が認められました。

1981年の建築基準法改正で、新築の建築物は震度6強の地震に耐えられる性能を義務づけられたのに対し、それ以前の建物は必ずしもその水準に達していません。

東京の九段にある九段会館は1934年に建てられた大変古い建物です。東日本大震災のときに、九段会館の天井が崩落して、2名の方が亡くなられました。このように、建築基準法が改正され地震対策が強化されても、それ以前に建てられた建築物は規制の対象外です。

2013年に改正耐震改修促進法が施行され、特定建築物の耐震診断と公表が義務づけられました。1981年以降の耐震基準を満たす建物を、2015年をめどに全体の9割まで増やすことが目標です。このうち、病院・旅館・福祉施設・学校といった多くの人が利用する施設で一定の規模以上のものなどは、2015年末までに耐震診断を受けることが義務づけられました。

大地震対策として建築基準法を改正したり、耐震診断の実施が促進されています。さらに、行政が公共施設はもちろんのこと、民間建築物についても補助金を出すなどして耐震補強工事を推し進めています。しかし、九段会館の例にみられるように、新しい耐震基準で建てられた建築物と、そうではない古い建築物が混在しているのが現状です。

関東大震災の例をあげるまでもなく、人口が密集した大都市は大地震に対しては脆弱です。海溝型の大地震が起きると大津波が発生して、沿岸部の地域は津波による甚大な被害がます。現在、逼迫性のある地震として首都直下地震や東海地震、東南海沖震の発生が懸念されています。

地震発生時の被害を少しでも減らせるように、国や自治体が全力で対策を施して、国民を守ってくれることを期待致します。