2018年10月10日

台風や豪雨災害と地球温暖化

本年6月~7月にかけて西日本豪雨による大きな水害が起き、9月には台風21号により関西に大きな被害がでました。近年、地球温暖化が原因と思われる自然災害が多発しているように思われます。今回は地球温暖化問題について触れてみます。

地球温暖化とは

地球温暖化は大気中の二酸化炭素などの温室効果ガスが増えることにより生じます。メタンや亜酸化窒素、フロン等も温室効果ガスです。二酸化炭素によって地球が温暖化することは、1889年にアレニウスというスウェーデンの科学者がすでに指摘していました。

地球温暖化のメカニズムは次の通りです。太陽からは様々な波長の光が地球に届きます。地球からは主に波長の長い赤外線が宇宙に向かって放射されます。大気中の二酸化炭素などの温室効果ガスはこの赤外線によって温まります。窒素や酸素、水素ガスのような2原子分子ガスや、ヘリウムやアルゴンのような希ガスには温室効果はありません。

地球にとって大気中の二酸化炭素は、人間にとってコートやオーバーのようなものです。温暖化とは地球がコートやオーバーを重ね着をして、暑くなっていくような現象です。

二酸化炭素は石炭や石油を燃焼させると発生します。人類は産業革命以降に石炭を、さらに第二次世界大戦の後には石油を燃料として大量に消費しました。近年ではメタンを主成分とする天然ガスも大量に消費しています。

なお、日本では地球温暖化という用語が使われますが、日本以外の国々では気候変動という用語が使われています。

1988年、あれから30年

1985年にオーストリアのフィラハで開催された地球温暖化に関する世界会議をきっかけに、二酸化炭素による地球温暖化の問題が大きくとりあげられるようになりました。さらに、1988年の米国の大統領選挙の年に、連邦議会等で地球温暖化の脅威に人類はどう対処するかが真剣に議論されました。世界的に地球温暖化に対するが関心が強まった年は1988年であったと思います。当時日本でも温暖化対策技術の研究開発や、温暖化のメカニズム、将来予測などの研究が本格的に開始されました。

地球温暖化の影響については気候、農業、産業等の面で予測されていました。もう30年前になりますが、気候面で日本に関する主な予測事項をあげてみますと、

  • 温暖化が進行する過程で雨が多い気候になる(豪雨被害増加)
  • 強い台風が増える(台風被害増加)
  • 日本海側では積雪が増える(豪雪被害増加)
  • 当時、私はこれらの影響が表れるのは2050年以降であろうと漠然に思っていましたが、もう既に顕著に表れており、昨今の温暖化による自然災害の多さに大変驚いています。

    増加する豪雨水害

    2000年以降、西日本で豪雨災害が増えました。その後、関東から東北まで、近年では北海道でも豪雨災害が頻発しています。ここ数年は、多数の犠牲者が出る水害、多数の住宅や道路が被災する水害が続いていますが、主な災害は次の通りです。

  • 2014年8月 広島市において豪雨により多数の土砂崩れが発生し、死者77名
  • 2015年9月 関東地方、東北地方で豪雨災害では鬼怒川が決壊。死者20名
  • 2017年7月 福岡県、大分県を中心に集中豪雨が発生し、死者40名、行方不明2名
  • 2018年6月~7月 西日本を中心とした集中豪雨により、死者221名、行方不明9名
  • 2018年9月 強い勢力の台風21号により大阪などで、死者9名、建物に甚大な被害
  • 上記はいずれも記憶に新しい災害です。本年9月の台風21号では、被害を受けた関西空港が機能を完全に回復するまで長い日数を要しました。台風21号以外の豪雨は線状降水帯によるものです。線状降水帯は次々と発生する発達した雨雲が列をなした積乱雲群によって、長時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出され、線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水をともなう雨域のことです。

    台風による降雨は台風が通過すれば止みます。しかし、線状降水帯による降雨は何日も続くことがあり、莫大な量の降水をもたらして甚大な水害が発生します。

    近年、豪雨水害が起こったり大型台風が発生すると、何十年に一度の豪雨、何十年に一度の大型台風などと報道されますが、日本全体で見れば、何十年に一度ではなく毎年発生している豪雨水害、台風災害となっています。これが現状です。

    本年6月から7月にかけて発生した西日本豪雨では221名の方が亡くなりました(行方不明者は9名)。治水が十分に行われていなかった過去の時代と異なり、現代社会においてこんなに多くの犠牲者が出たことには大きな驚きと、温暖化に対する恐怖を覚えます。

    温暖化の影響は実は多分野で

    温暖化の影響は様々な分野で現われています。たとえば、桃の生産の北限は福島県あたりと言われていましたが、現在では青森県でも生産されています。寒暖の差が大きくないと赤いリンゴが生産されません。温暖化の影響を受けて青森県の一部の地域ではリンゴの代わりに桃を生産しています。そのほか、ミカンの産地として愛媛県や和歌山県が有名ですが、今世紀の末ごろには北関東あたりがミカン生産の適地になるという予測もあります。

    フグは暖かい海域に棲息し、これまではフグの北限は九州あたりでした。しかし最近は関東や東北地方でもフグが水揚げされています。山口県の下関はフグで有名ですが、将来は銚子あたりがフグの水揚げ港として有名になるかもしれません。

    温暖化により北極海を覆っている氷が融け続けており、大きな船も航行できるようになってきました。北極海航路を使うと日本や中国、韓国などからヨーロッパへ貨物船の航行日数はスエズ運河経由と比較して約3分の2で済みます。北極航路を本格化できるように現在ロシアの北極沿岸の港の整備などが進んでいます。北極の氷は2050年頃には完全に融けて消滅すると予測されています。

     

    さて、豪雨台風の自然災害を考えますと、世界の中で日本は最も地球温暖化の影響を受けている国であるかもしれません。近年の被害の経済的な損失は莫大になっています。さらに、日々の経済活動にも非常に大きな影響を与えるに至っています。地球温暖化の重大さを今一度強く認識して、有効な対策が講じられることを期待致