2016年06月15日

人を育てる上で必要なもの

 さて、これまでは「なぜ、人を育てる必要があるのか」「人が育つとはどういうことか」についてみてきました。今回は人を育てるにあたって必要なものについて考えていきます。まず、前提条件として、本人が「ここで自分が成長したい」という意識があることを確認します(これがない場合はモチベーションの問題なので当コラム2013年度の記事をご参照ください)。次の3つのカテゴリに分けて考えてみましょう。

人を育てる上で必要なもの

 まず上司と部下の人間関係において、上司は部下を信頼することがもっとも大事です。この人は必ずできる、能力があると信じ、任せることです。どんなミスをしても相手を非難するのではなく、どうしたらできるかを考え続けることです。ここがあまいと、部下は敏感に上司の本気度を察知して「俺になんかできるわけがない」と下を向いてしまいます。期待し、真剣に向き合ってください。そして、次に大切なのは、相手から信頼されることです。この人の言うことなら聞こう、という信頼関係を普段からつくっておく必要があります。そのためには、自分自身の行動や考え方を律することも大切です。人として尊敬されることが一番ですが、最低でも仕事の進め方や交渉のうまさなど、仕事の能力について部下から認められている部分があることが必要でしょう。人ばかりよくても、仕事ができない上司から、部下が何かを教わろうとは思わないものです。

 次に必要なのは、挑戦すべき課題です。これは、簡単すぎてもいけませんし、あまり難しすぎても最初からやる気が起きません。少し頑張れば実現できそうなところに目標を設定しましょう。このねらいは成功体験をさせることにあります。人は頑張って何かを達成できると、それが自信となります。究極のところ、人が育つということはこの経験の積み重ねであるといえます。ですので、上司も、適宜部下をサポートしながら、できないところはそっと側面から手を差し伸べ、本人が目標に到達できるよう見守ってあげましょう。

 ひとつ知っておいていただきたいのは、いまのゆとり世代と言われる人たち(社会人でいうと27歳まで)についてです。傾向として、彼らはこの「目標を設定し、そこに向かって努力する」ことを苦手としています。それはすべてツールも何もかもがそろい、お膳立てされた中ですぐに結果が手に入る、という環境で育ってしまったために、努力して模索しながら進むという経験をあまりしていません。ですので、もし部下がこの世代に該当する場合は、目標を少し低めにする、フォローを手厚くするなどの配慮が必要な場合もあります。

 最後に必要なこと、それは人が育つしくみです。人事育成にはある程度の時間が必要です。
ある程度の長期的視点に立って、その役職に求められるスキルをリストアップし、それらを身につけてもらうには、どんな仕事や経験が必要かを考えます。その意味では、各役職のJob description(職務記述書;仕事の定義や内容、権限が記されているもの)をきちんと定義するのがよいでしょう。OJTをするにしても、やみくもに仕事をやらせるのではなく、部下の成長に必要な仕事が網羅されるようOJTプログラムを組むべきですし、研修も一過性のものではなく、「ステップアップするためにはこの能力が必要、だからこの研修をこのタイミングで受けさせる」というように、長期的な視点に立った育成プランを立てる必要があります。

 部下との信頼関係、挑戦すべき課題、そして人が育つしくみ。この3つを念頭におきながら、皆さんの会社の人材を育てていただければと思います。
次回は「相手を知る~いまの若者たちの特性」について考えていきます。どうぞお楽しみに。