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2025年11月14日

部下のミスにはこう対応しよう

第8回「部下のミスにはこう対応しよう

皆さんは実際に若手の部下の仕事上のミスや失敗に接したとき、どのように対応していますか?今回は具体的なケースで考えてみたいと思います。

あるとき、とある物件の登記の申請をすることになりました。私は自分でその手続きをしようと考え取引先のAさんに必要書類を訪ねたところ、「これです」といわれ出てきたのがある資料一枚のみ。「ふだんこちらをお渡ししているのでこれで用が足りるかと思います」とのことでした。
ところがそれを役所にもっていくと、それでは足りず添付する資料があると言われました。そこで再度Aさんに問い合わせると「家屋調査士に確認したら、すみません実はありました。ふだんは全部家屋調査士に任せているので、お渡しした一枚だけお客様に渡してるのですが」との答えでした。結局追加でもらった資料を役所に提出し、その処理は完了しました。

これに似たようなケースが皆さんの仕事の中でもありませんか?ある仕事の範疇の中で、相手が知っているのはごく一部のやり方に過ぎず、その人は全体を把握していないことが。
まず私が思うのは「その仕事をプロとしてやっている以上、自分の業務が関わる分野であれば、一部のパターンではなくもっと広い視野で把握しているべきである」と。これはきっと多くの管理職の方も同様に感じていただける視点だと思います。

一方、Aさんの立場に立って考えてみましょう。もちろんそうやって全体を把握しているほうが望ましいのですが、Aさんにとっては、営業という幅広い仕事の一部に登記という業務があるだけで、登記を専門にしているわけではない。ふだんは土地家屋調査士さんにお願いしている部分であり、これまでの顧客については何も問題なくできていたので、今回はイレギュラーケースであると考えたことでしょう。

私たちは、つい相手に自分と同じ期待レベルを押し付けてしまいがちです。昭和の価値観では特にそうかもしれません。今回のケースでは「プロなんだからそのくらい知らなきゃダメだよ」と𠮟りつけることもできるでしょう。しかし令和の時代、これではうまくいかないように感じます。むしろ「そうですよね、ふだんとは違うやり方だし。いやあ僕も今回勉強になりましたよ。Aさんも今後やり方がわかっていいケースになりましたね!」と声をかけたほうが、相手のモチベーションも損なわれないし、良好な関係を続けていくことができます。ここで大切なのは「共感と未来志向」です。相手の気持ちを共有しようとし、今回の経験をともに未来に生かそうという意思、このあたりがいまの若い人との接し方の肝になると思います。

昭和世代に多いのは「よし俺が教えてやろう」というスタンス。いわゆるおせっかい焼きです。これは令和ではむしろ嫌がられる気がします。相手から請われれば教えてあげればよいですが、言われもしないのにクドクド御託を並べるのは避けるようにしましょう。そして「自分にとっても勉強になった」(これはIメッセージですね)ことを伝えることで、相手の罪悪感が減り、嫌な気持ちを引きずることなく進んでいけるはずです。

ふだん文句ばっかり言っている自分ですが、この連載を書いているおかげで少しは大人になったように思える今日この頃です。

川村透

川村透

川村透かわむらとおる

川村透事務所 代表

「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…

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