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2022年01月20日

リモート研修を実施して気づいたことをシェアします

第10回「リモート研修を実施して気づいたことをシェアします」

コロナ禍が始まり、それと同時に急速に普及してきたこのリモート研修。足掛け二年くらいになりますが、多くのリモート研修を経験してきた講師が感じてきたメリットデメリットなどを今回はお伝えしたいと思います。

たくさんあるメリット

まずいえるのは、「場所と人数の制限がない」ということ。リアル研修ですと、その会場まで足を運ばねばならず、また会場のキャパなどもありましたが、オンラインで実施することにより、全国いや世界中どこにいても同じコンテンツを配信できるようになりました。また人数もほぼ上限を気にしなくてもよい。これは大企業にとっては大きなメリットです。これまでは同じ役職でも、どうしても都心と地方では情報格差が生まれたと思いますが、リモート研修によってそれが解消され、受ける人も一体感を感じることができるようになりました。

次に「距離感がみな均一である」こと。リモート研修では、画面上でタイル状に皆さんの顔が均等に映るので、前のほうに座った人が有利とか、声の大きい人に注目が集まるとかそういったことはありません。

もうひとつは、「安心できるディカッション」です。使うアプリケーションにもよりますが、たいていの場合はグループに分かれてのディスカッション機能があります。コロナ禍においては、リアル研修の場合どうしても人と話すという行為に注意を払わざるを得ず、横の人と話し合うにしても気を遣う状況です。であれば最初からリモート研修にして、画面上で複数の人が安全に意見を交換しあえるほうがよいでしょう(Zoomではブレークアウトセッション)。

デメリットはやはりライブ感

一方、デメリットも確かにあります。一番に言えるのは、「その場のライブ感がない」ということ。音楽のコンサートでも、もちろん演奏をリモートで聴いたりあとでDVDで観ることもできますが、ライブ会場に足を運んで五感で感じる情報量に勝ることはありません。研修も、その場での講師や参加者の熱量、声、緊張感など、肌を通じて伝わる情報は少なからずあり、それが記憶に定着するきっかけのひとつにもなります。そこが得られないのは残念です。

またチームビルディングアクティビティなど、実際に「他人と協働で何かを作り上げていくという体験がしにくい」のは事実です。会場ですと、自分で作業をしながら横を見て、「あ、そういうやり方もあるのか」と気づいたりもできますが、リモートだとそういった気づきはありません。もちろん最近は、リモート環境用のチームビルディングツール(謎解きゲームなど)もありますが、やはりリアルで体を動かして行う体験のような面白さは得られないかもしれません。

3つ目に言えるのは「集中力の維持が難しい」ことです。情報の伝達という意味では効率的なリモート研修ですが、それを受けるのはやはり人間ですから、集中力には限界があります。会場ですと横に同僚がいたり雑談も気軽にできたりして気が紛れますが、2時間を超え、さらに一日研修ともなると、ほとんど変わらない画面で同じ人が話し続けるのを見せられるのは極めて苦痛です。このあたりは実施側の工夫が必要なところでしょう(休みを多く入れる、ときにほかの話者を入れる、質問に応える、など)。

そのほか、講師として気づいたことは:

  • あらかじめ物理的なものを全員に配っておいた方が、一体感を感じられる
    リモートだとどうしても疎外感があるため、何か形のあるものを事前に配っておくだけで参加意識が違う。ワークブックなどがあれば最適。最低限レジメでもあるとよい。
  • 参加者のやりとりはその環境やIT習熟度を確認しておく
    やりとりをする際は、その場のネット環境や相手側がマイクをうまく使えるか、チャット機能を使えるか、などを確かめておくこと。運営側が慣れていても、参加する人は不慣れの可能性がある。
  • 講師側は飽きさせない工夫を
    同じ人が同じように話し続けるのを見るのは退屈である。機能を使って参加者に手を挙げさせたり、質問を投げかけたり、チャットなどを使って参加させる工夫が必要。
  • できれば画面オンでの参加を
    画面オフでの参加ともなるとよほど意識のある人でないと見続けない。状況が許せば、画面オンでの参加が望ましい。
  • 双方向のやりとりが難しい場合、講師はラジオDJになりきる!
    研修講師は通常、会場の参加者とのやりとりが前提にあるので、反応がないまま一方的に話し続けるのは難しさを感じるときもある。その場合は、ラジオDJになったつもりで話すとよい。自分一人でテンションを上げるという意識が必要である。
  • 参加者はヨコとのつながりを求めている
    ただでさえ孤立しているリモート環境なので、できるだけヨコの人と話せたりするような場を作ってあげると、参加者の安心感は高まる。

まとめ

リモート研修というスタイルは、いまや第一の選択肢になっています。コロナ禍の状況が落ち着いたとしても、研修のニーズによって、リモートとリアルは使い分けられていくことでしょう。ぜひメリットとデメリットを知った上で、双方をうまく使いこなしてください。

次回は、「部下と会わずに部下を育てる~2030年の人材育成」をお送りします。これは、非接触率100%で部下を育てるとしたらどうなるか、という仮説のストーリーです。どうぞお楽しみに。

川村透

川村透

川村透かわむらとおる

川村透事務所 代表

「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…

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