2005年04月05日

ゲームで仕事を斬ってみる

 僕はいっさいゲームに興味がありません。プレステもやらないし、ロールプレイゲームも面倒。が、つい先日、いつも購読している「百式」というメルマガに「ゲーム会議」なるイベントの告知がありました。「ナンだこれ」と思ってよくみると「もっとゲーム的感覚をビジネスに取り入れよう」的な歌い文句。「ムムム...これは何かある!」というわけで、さっそく参加してきました。


●なぜ、ゲームか
 僕はいつも「講演はドラマだ。エンターテイメントだ」と思っていて、なるべく皆さんも一緒に楽しめるようにクイズやゲーム、ワークショップを取り入れるようにしています。やはり聞くだけよりも参加したほうが、あとあと身体にそれが残るものです。その発想の延長に「ゲーム」というキーワードが引っかかったのです。そう、このゲームという感覚。いままでまったくゲームと無関係だった産業や分野に、ゲームという要素を取り入れることで、やる気が出たり、新しい展開があるのではないか。そう思ってのことでした。


●ゲームは深い
 ここで考えたいのは、ゴルフとかカーレースとか、そういったたぐいではなく「あるものにゲームの要素を取り入れることで、本来の目的が達成される」という発想です。実利型とでもいいましょうか。この例としてわかりやすいのは、司会者の方が紹介してくれた「本人の血糖値連動型」のファイティングゲーム。これはプレイヤーの血糖値を機械で測定し、その値によってゲームの主人公の強さが決まるというもの。これならゲームで強くなるために、健康になろうという(変な!)動機づけが働きますよね(笑)。

 もうひとつ健康系でいうと、海外のFitness Challengeというボードゲーム(人生ゲームみたいなの)もおもしろい。これはダイエットというつらい作業をボードゲームにしたもので、ペアで行い、運動をしながらコマを進めていき、いろいろなトラブルを乗り越えながら、先にゴールしたほうが勝ち、というもの。そうそう、こういったノリなのです。これなら目に見えるし、パートナーがいるところもミソですね。

 また、ちょっと異色なゲーム、September12thにはメッセージ性をかなり感じ、感動すらしました。これはシューティングゲームなのですが、名前からもわかるとおり、テロを扱ったゲームです。やりかたは簡単で、市街地にうごめくテロリストを狙って撃つのですが、しかしその回りには一般市民がたくさんいて、市民を誤射してしまうと、それが生き返って今度はテロリストに変わる、というもの。つまり、誤射すればするほど、テロリストが増えていくのですが、きっとこれはイラクで実際に起きていることのはず。

 身内を犠牲にされた一般市民が「にっくきアメリカ」と憎悪を抱き始める。そうした彼らの気持ちにゲームをしながら気づき、「これってやっぱりまずいよね」と感じ始める。なんと深い!

 ほかにも面倒なことをゲームにして生産性を上げたり、さまざまなアイデアが。いや、ゲームっていろんな可能性があるんですね。


●ゲームで人事評価?
 すでにビジネスをゲームにしたものは世の中にたくさんあります。有名なモナポリーに始まり、会社経営ゲーム、株式投資シュミレーション、金持ち父さんのキャッシュフローゲームなどなど。ここで、私もゲームという観点で、いくつか考えてみました。

【1.人事評価ゲーム:夜の株式市場】
<コンセプト>
フェアな人事評価というのは難しい。360度評価、成果主義など様々だが、結局、ある特定の権威に評価されるというところが問題。それを解決するのがこのシュミレーションゲーム。

<ポイント>
(1)社内で1つのバーチャル株式市場を作る
(2)そこでの売買対象は、企業でなく、社員一人一人。社員番号がそのまま銘柄コードに。(例 1234:川村透)
(3)入社すると自動的に上場される
(4)社員全員が匿名で取引ができる。業績や将来性、人間性などをみて「いけそうだな」と思う社員の株を買う。もちろん、上司、社長の株も買える
(5)本人は、特定の上司にアピールしてもダメ。会社全体のためになるようにアピールするように(それこそ本来の姿では?)
(6)小さいながらもひとつの市場原理が働くので、より公正な評価につながる
(7)株の購入は実際のお金を使い、額を100~1000円くらいで設定する。社員はそこで小遣い稼ぎもできる。

どうでしょうか。実際にこんな人事評価制度があったら、それこそフェアでやる気がでると思うのですが(笑)。

【2.面接ゲーム:踊る大集団面接】
<コンセプト>
巷に就職対策本があふれているが、やはりどんな質問をされるか気になるもの。そこで、過去の蓄積されたデータをもとに、画面上で面接官があなたに質問をしてくれる面接シュミレーションゲーム。これで面接対策もバッチリ。

<ポイント>
(1)すでに入社している先輩への取材、人事部へのインタビューなどで面接の質問データベースを構築。それをAI(人工知能)で運用。
(2)学生が自分の過去の実績や性格、希望などを入力すると、それに応じた質問がされる。
(3)的外れなことを答えたりすると減点の対象に。
(4)終わると点数が出て、答え方などのアドバイスもしてくれる。
(5)ウェブカメラを使った「集団御茶の間面接」にも対応。自宅でいながら模擬集団面接も受けられる。


●もっとゲームで考えよう
 こんなふうに今回はまったく畑違いの集まりに出てみて、とてもよい刺激になりました。いつもは使わない頭を使ったような感じです。

 皆さんもぜひ「ゲーム」の観点で、いまの仕事や職場のシステムを見直してみてください。よく「社員のモチベーションが上がらなくて」「やる気がでなくて」という声を聞きますが、「ゲーム」という切り口で切ってみたら、案外突破口があるかもしれません。子どもに片付けをさせるときも「ほら、さっさと片づけなさい」と言うより「はい、じゃ3分でできるかどうか、記録をつくってみる?よーい、ドン!」と言ったほうが俄然やる気になるのと基本的には同じだと思います(笑)。仕事も楽しくやるもやらないも、工夫一つ。さあ、皆さんの「ゲーム会議」、スタート!

<今月のレッスン:「ゲーム」という発想がないこところにこそ「ゲーム」あり!>