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2010年12月03日

メッセージボードがつなぐ『人の和』

 先日、とある販売会社の本社で研修をさせていただいたときのことです。
課題のひとつに「本社と、実際にものを売っている店舗側とのコミュニケーションをよくしたい」ということがありました。本社の社員の方たちからすれば、「店舗側が無理をいってくる」。しかし店舗側からすれば、「いや、本社の人たちは、現場がみえていない」とお互いのせいにしがちなのが現状とのこと。

 こういうときには、「テクニカルなスキルを学ぶ」あるいは「なぜそうなるのか、原因を分析して対策を考える」など、いろいろ手法はあります。今回とった方法は「相手を承認する」というやり方でした。常日頃、つい文句が出てくる相手にも、見方を変えれば、必ずどこかでお世話になっていたり、助かっていたりする部分があるはず。そこに焦点をあて、形にして相手に伝える、という方法です。担当の方とお話した結果、「では、研修の中でメッセージボードを書いて、店長を呼んでサプライズで渡そう」ということになりました。

 まず、B2サイズのイラストレーションボード(色紙の大きいようなもの)を用意し、参加者にはそこに思い思いのメッセージを書いてもらうことに。ボードの中心にはみんなで決めた「和」の一文字が。それを囲むように「いつも本当にありがとうございます」「皆さんの頑張りのおかげで、オムツが買えています」など、心のこもった一言でボードが埋まりました。
 さて、つぎはボードの授与式です。店舗の店長に来てもらうのですが、サプライズなので、本人は何も知らされていません。店長がけげんな顔をしながらセミナールームのドアをあけると、いきなり大きな拍手とともに人の花道が。「何が起きたんだ?」戸惑う店長を人の輪の中に迎えます。すると、代表の一人が、さきほど書いたメッセージボードを持ってこう言います。「いつもありがとうございます。みんなの感謝の気持ちをここに書きました。これからもよろしくお願いします!」
 店長のお顔は、心なしか緩んでいました。そしてそのあと、少しお言葉をいただくことに。「・・・いや、こんなことをされたのははじめてです。ありがとう・・・」店長の話を聞いている皆さん、とてもいい素のお顔でした。少し目頭が熱くなっている人もいました。見ている私も感動しました。会場にとてもあたたかい、そして澄んだ空気が流れました。

 同じ会社なのに、ただ部署が違うことで、ついいがみ合い、相手のせいにして、仲間意識が持てないことがよくあります。そんなときは、まずは自分たちから相手を認め、感謝の気持ちを形にあらわすことで、両者の間にはりつめていた糸がゆるみます。
 このメッセージボードには、相手の見方を変え(不満⇒感謝)、人の心をつなぐ力があります。どんなコミュニケーションスキルよりも強力なツールです。もし皆さんの会社でも、同じように部門間、また部下と上司の意思疎通がうまくいっていないのなら、メッセージボードを使った研修をされてみてはいかがでしょう。どんなに今がうまくいっていなくても、人の心は腐ってはいません。本物の感謝・感動は、きちんと相手に伝わり、必ず組織をよい方向へ導いてくれるでしょう。

川村透

川村透

川村透かわむらとおる

川村透事務所 代表

「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…

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