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2008年05月10日

ながらの達人を目指し、メタボな人生に別れを

居酒屋で丸いお腹をさすりながら「参ったな、腹回り90cmか」「とりあえずメタボ!いやビール、ビール」とボケている場合ではありません。

4月よりメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)をターゲットにした特定健康診査及び特定保健指導(40歳以上74歳以下の人)がスタートしたからだ。背景には、急増する虚血性心疾患、脳血管障害、糖尿病等の生活習慣病及び国民医療費(生活習慣病関連で3分の1を占める)の抑制が上げられる。

メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満(男性で腹囲が男性で85cm以上、女性で90cm以上)と判定された上で「高血圧、脂質代謝異常、高血糖」のうち2つ以上あわせもつ状態をさす。 メタボの基本的な考えは高血圧症、脂質異常症(以前の高脂血症)、糖尿病などの生活習慣病が内臓脂肪によって引き起こされ、また生活習慣病が軽い段階でも、それが重なると動脈硬化に進みやすく、心筋梗塞、脳梗塞の危険が高まるというものである。

例えば、上記のリスクファクターが3つ重なると心血症発生リスクは「31倍」、脳卒中発生リスクは「5倍」に跳ね上がる。

2004年の国民健康・栄養調査で、中高年の男性の2人に1人が、女性の5人に1人が、メタボが強く疑われる者、または予備群と考えられる者であると発表されて以来、テレビ、新聞、出版等のあらゆるメディアで大々的に報道され、2006年の流行語大賞トップ10に入るほど注目された。

そして2008年4月よりメタボ健診が義務化されるにいたり、いまや日本中メタボ情報が蔓延し、メタボ関連商品も次々に開発され、メタボビジネスという業態が確立しそうな勢いである。 「メタボ狩り」「メタボ撲滅」といったセンセーショナルな言葉が飛び交い、さすがに中高年の心中も穏やかでなくなってきている。

今までも、よほどのへそ曲がりでない限り、運動不足と食べすぎ飲みすぎは肥満に通じ、健康に悪影響を及ぼすことくらいは、概ね理解していたはず。それが具体的な病名、数値として突きつけられ、
否が応でも向き合わねばならなくなったという状況である。実際、メタボという言葉の意味を知っている人は87%にも上るほど関心度は高い(内閣府調査、2008年5月)。

メタボの判定基準に関しては、いまだ不確定な面もあり、国際基準と異なる面も指摘され、しばらくは論議されることになろう。また心情的には「お腹まで管理されたらたまらない」という不満も分からなくはないが、この際、メタボ解消は健康不安を払拭する絶好の機会だとポジティブに考えよう。

そこで「メタボ解消のために運動!」となるわけだが、運動を生活習慣に取り込むことは、前回述べたように想像以上に困難なことである。実際、メタボのメカニズムをよく理解している医師、保健師、肥満研究者、スポーツ医科学者、栄養学者、健康運動指導者、行政の健康づくり担当者で、「継続は力なり、運動を習慣にすることが大事、意思を強くして、習慣にすれば簡単」と勧めておきながら、その本人が実は「メタボ体型」であることはよくある。

皮肉なことに、メタボを診査する内科医の最大のストレスは「自分のお腹周りが85cm以上!」ということなのだ。

ましてや働き盛りのビジネスマン、責任の重いチームリーダー、管理職者にとっても、毎日、一定の運動のために一定の時間を割くことは、至難の技と言ってよい。いろいろ仕事や時間のやりくりをして「今日は何が何でも運動をする日!」と決めても、急な来客、緊急な仕事が発生すれば、よほど人生を達観したか、あまり必要とされていない人を別にして、「お先に」と帰るわけにはいかないものだ。あなたはスタッフから仕事上、あるいはプライベートの悩みを相談されて「今日はダメ、泳ぐ日だから」と冷たく突っぱねることができますか?

特に男は仕事を通して、経済的に家族を支える重要な役割を持つ者が多い。目の前の仕事をないがしろにしてまで、ダイエット、健康づくり運動とはいかないのが現実である。

だから日常ながら運動に注目してほしい。

確かに油断するとすぐにつきやすい内臓脂肪だが、皮下脂肪より燃えやすいという特徴もある。メタボは脅威に違いないが、考えてみれば余分な内臓脂肪を少しでも取り除けば99%は解決する。実にシンプルな構造なのだ。

日常ながら運動は、日常生活活動に100%重ね合わせて行い特別な時間を一切取る必要はない。「忙しくてできない」という理由は元々成立しえないのだ。さらに継続の秘訣は「運動に時間をかけてはいけない」「時間をかけると失敗する」くらいの心構えが必要。そう意識すれば、気持ちも楽になり、仕事、生活シーンで、どのようなながら運動が可能なのか、考え、工夫するようになる。

「ながらの達人」を目指し、メタボな人生に別れを告げよう。

長野茂

長野茂

長野茂ながのしげる

株式会社フィットネスビジネス研究所代表取締役

「日常ながら運動」のパイオニア。忙しい現代社会で自分のライフスタイルに無理を上乗せするような、特別な健康づくり、ダイエットはなかなか長続きしません。どんなに仕事が忙しくても、どんなに不規則な生活をして…

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