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2009年07月10日

ショッピングの基準が変わる!?

 オバマ大統領が「グリーン・ニューディール」宣言をして以来、日本でも”グリーン”という言葉が、時代のキーワードとして頻繁に使われるようになってきました。

 この7月4日、5日の二日間、横浜では”グリーンEXPO”が開催されました。「エコとオーガニックが大集合」と銘打たれたこの催しに、二日間で3万人近い人々が押し寄せ、活況を呈し、成功のうちに終わったのですが、私はその中のファッション・ゾーンを担当しました。

 テーマは「グリーン・ファッション」。オーガニック・コットン、グリーン原料を用いたファブリック、フェアトレード、手作りなど、地球のサステナブルな状況に貢献するファッションを総称して、このような言葉を作りました。

 今回のEXPOでは、食べ物からコスメ、リビングまで、ライフスタイル全般に行き渡るエコとオーガニックに関わる提案がなされたわけですが、いままでのこうした催しには無かった、新たな潮流として、この”グリーン・ファッション”ゾーンの存在があります。

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  たとえば、「アニエスベー」というフランスのファッションブランドが出店したのですが、b.グリーンというオーガニックコットンを使ったコレクションを販売すると同時に、アニエスベーが主催する「地球観測船タラ号」の冒険を紹介する展示、セミナーも行われました。「45rpm」は、フルオーガニックのラインを用いたコレクションをデリバリーカーで販売するというユニークなショップ展開、これは夏に海の家の横に出店するというもともとの発想から生まれたダイナミックな展示でした。信国大志さんはフルオーガニックのメンズライン「botanika」を、展示場の中央に大きな樹木を飾り、まるで庭の中でブティックを開く形式で披露。他にもグリーン・ファッションの旗手「パタゴニア」、オーガニック・コットンの専門会社アバンティのブランド「pristine」、フェアトレードのリーディングカンパニー「ピープル・ツリー」、自然派ファッションの代表「ヨーガン・レール」などなど、豊かな顔ぶれが揃い、売り場は多いに盛り上がりました。

 特徴的だった反応としては、買い手がただ買っていくのではなく、必ずそこに「会話」があった、ということ。

 これらのファッションの特徴は、じつは目に見えない部分にあるのです。素材が、天然素材、自然素材であること。
フェアトレードであることなどは、見ただけではわからないのですが、売り場での会話の中から、そのことを確認し、魅力を感じて買う。食べ物、コスメの領域では当たり前となりつつあるこの「会話」の波が、ファッションの世界にも押し寄せているという、これは先駆け的現象でした。

 物との付き合い方が変わる。ショッピングの基準が変わる。これが、21世紀の消費のキーポイントです。物には、背景がある。価格や素材だけでなく、生産や流通のプロセスも含めての物語。そこに消費者が気付き、こだわり始めたら、マーケットの流れは大きく変わるのです。

 グリーンなライフスタイルは、物が”見た目”や”価格”だけでなく、背景にある”物語”でも人々を魅了する、そんな新たなショッピングの法則を生み出しつつあるのです。

生駒芳子

生駒芳子

生駒芳子いこまよしこ

ファッション・ジャーナリスト

VOGUE、ELLEを経て、2004年よりmarie claireの編集長を務める。2008年10月に退任。その後ファッション雑誌の編集長経験を生かして、ラグジュアリー・ファッションからエコライフ、社…

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