2009年11月25日

1歳の子どもに通じる親の言葉「わたしメッセージ」 その2

前回に引き続き、1歳の子どもに三部構成のわたしメッセージを伝えた事例をご紹介します。

ここでもう一度、三部構成のわたしメッセージについて、説明しておきましょう。
『三部構成のわたしメッセージ』とは、子どもの行動で親が「イヤだ」「困った」などと感じたとき、次の三点をセットにして述べる方法です。

・子どもの行動(事実を非難がましくなく)
・その行動で、親がどう困っているのか、親に降りかかる影響を具体的に
・影響によって生じる親の感情を率直に

1歳4ヶ月の息子を予防接種に連れて行きました。
最近歩けるようになり、歩くことに夢中です。待っている間も手をつないで廊下を歩いています。廊下の途中にある階段で、私の手を引っ張り昇ろうとします。

母 Sちゃん このまま階段を昇ると、看護師さんに名前を呼ばれても
   聞こえないから、ママすっごく困るよ。
S  んー んーん、ん、んー
母 階段昇りたいんだね
S  んーー!
   (大きな声になり、つないでいる手を更に強くひっぱり、階段へ行こうとする)
母 階段を昇ると、看護師さんに呼ばれても聞こえなくなっちゃう。ママ困るよ。
   (しゃがんで息子の目線に合わせ)
S  (両手を上に挙げ抱っこのポーズをする)
母 じゃぁ 待合室に行こうね。 ありがとう。(抱き上げ、待合室へ)

母親の感想
1回目のわたしメッセージは手をつなぎ、私は立ったまま子どもを見下ろすように言いました。いくら「わたし」を主語にしたって、1歳の子どもがすんなり聞き入れるとは思っていませんでした。案の定やっぱり抵抗され、そのとき「真剣に言わなくっちゃ」と思い、2回目、私はしゃがんで、ややゆっくりな口調で真剣に伝えました。

これでも私の言葉が子どもに通じなければ、子どもを抱っこしてその場を離れようと一瞬考えました。思いがけず、子どもから抱っこのポーズをしたのでホッとしました。
階段を昇らない代わりに「じゃぁ抱っこして」ってことなのかな...と、思いました。
待合室に戻ってからはおとなしく遊んでいました。私の言っていることを子どもがわかってくれて、しかも、自分から進んでおとなしく待合室に戻ろうとしたように感じて本当に嬉しかったです。

上の事例から、親から三部構成のわたしメッセージを送られた子どもの内部は、どのような感情の変化が起こるのか、今回はそこに目を向けて見ましょう。

1回目のわたしメッセージ(名前を呼ばれても聞こえないかもしれないという親の心配)は、おそらく、子どもの耳には届いているはすです。しかし、子どもは、すぐに親の言うことに従いたくありません。なぜなら、自分の欲求を満たしたいとの思いがあるのですから。したがって、1回目のわたしメッセージは跳ね飛ばしてしまいます。

ところが、親は「階段を昇りたい」という自分の欲求に目をむけ、親の言葉で確認をしてきます。自分の気持ちをわかろうと努力している親を知ることで、自分に対する親の愛情を感じます。愛されていることの実感から、子どもの側に親の欲求に目を向ける姿勢が生まれます。その状態が整ったとき、2度目のわたしメッセージが子どもの耳から脳に届き気持ちの変化が起こるのかもしれません。「僕のことをわかろうとしているママを僕が困らせているなら、僕の行動を変えよう」...と。

いかがですか? あなたも一度ためしてみては...?
自分の言葉から、自分の気持ちが子どもに伝わった喜びの実感が体験できるかもしれませんよ。