2009年05月25日

教育現場(小学生) 気になる生徒への対応 事例紹介

教師は複数の生徒に対して、全員が同じように学習内容を理解できるよう、配慮をしながら授業内容を検討していることでしょう。
しかし、生徒たちは、同じ授業を受けていながら、全員の理解が同じように深まっていくとは限りません。
教師の目には、やる気になっていない生徒ははっきりみえるものです。そのようなとき、やる気を起こさせるために教師は生徒に働きかけをする必要が出てきます。

塾でのことです。理科の授業中 T子はつまらなそうな顔をしています。他の科目ではそんな様子は見せず、真剣に取り組むT子です。
教師はT子のつまらなそうな顔を見て、理科が嫌いなのだろうと思っています。理科の授業だけに身が入らない様子を少々残念に感じていました。教師は休み時間に【教師学(ゴードン・メソッド)】で学んだ方法でT子に働きかけをしました。

1、教師 「理科の授業になるとつまらなそうな顔をしているので、
       理科は嫌いなのかな...と思って、先生は気になっているんだよ」
2、T子  「..................」
3、教師 「急にこんなことを言われてびっくりした?」
  T子  「はい...理科が嫌いなんじゃありません」
4、教師 「えっ? 嫌いじゃないの?」
  T子  「嫌いなんじゃなくって、わからないんです...」
5、教師 「あ、理科はわからないのか...」
  T子  「理科がわからないんじゃないです。月と星のことがわからないんです」
6、教師 「ああ、月と星のことがわからなかったのか」
      「じゃあ、次の時間までに、月と星のことをもう一度説明しようか?」
  T子  「はい!」

この事例を番号順に細かく見ていきましょう。
1、教師が生徒の行動を見て気になっているので、そのことを伝えています。
  生徒の行動を非難がましくなく言い、同時に自分の気持ちを伝える、
  相手を攻めない自己表現です。
2、T子は教師の働きかけに戸惑っているのでしょうか、無言です。
3、教師は生徒の反応を見て、無言でいるT子の気持ちを、言葉にして確認します。
4、5、6、はどれも生徒の言っていることの確認をしていますが、生徒には自分の言いたいことが教師に伝わっていないために、さらに言葉を足しています。この繰り返しによって教師には、T子が授業中つまらなそうな顔をしている理由がはっきりわかります。そして、抜け落ちている部分を補うことの約束が成立したのです。

これは教師学で学ぶ対応法【切りかえ】を実践している例です。
【切りかえ】とは、まず、自己表現で教師の内面を生徒に見せることからスタートします。
こちらの内面を相手に見せるだけにとどまらず、今度は、相手の内面を見ていく相互通行の対応法です。
これまでこのコラムでご紹介してきた《わたしメッセージ》と《能動的な聞き方》を組み合わせた対応法とお考えください。

教育の現場でのコミュニケーションは、指導する側とされる側、相互の気持ちが通い合うことで生徒の学ぶ姿勢が生まれます。そして、教師の指導が活きたものとして、生徒に吸収されていくのです。

あなたがもし生徒だったら、自分の気持ちに目を向けて対応してくれる先生が、自分の様子を見て、『私のことを気にかけて、先生が胸を痛めている』と知ったとき、どのような気持ちになるでしょう。
先生の言葉に真剣に耳を傾けよう...と、思うのではないでしょうか。

気になる生徒への対応は、【切りかえ】が大きな力となりますよ。