2009年01月23日

子どもにしっかり伝わる親の「語り方」事例を紹介

幼稚園年中組みに通っているSちゃんは毎朝テレビに夢中です。幼稚園に行く時間が迫ってきているのに着替えもせず、のんびりテレビを見ています。お母さんは毎朝毎朝同じ時間に「早く支度をしなさい」「早く!早く!」のくり返しで、もう うんざりしています。

お母さんが、Sちゃんの着替えや幼稚園に行く支度を手伝ってしまえば済むことなのかもしれませんが、そうもいかないのです。

Sちゃんには生まれて間もない小さな弟がいます。Sちゃんが幼稚園に行くための支度をするその時間に、お母さんは赤ちゃんにおっぱいをあげているのですから・・・「早くしないと幼稚園に遅刻しちゃうでしょ」「ほら、園服を着て」「靴下をはいて!」「もうテレビを消しなさい!」お母さんは赤ちゃんにおっぱいをあげながら、毎朝同じことを言っています。

でもSちゃんはあいかわらずのんびり。結局、おっぱいをあげ終わったお母さんが支度を手伝って、家を出るのはいつも遅刻ぎりぎりで幼稚園まで走っていくことになります。

毎朝こんな状態なのでお母さんはイライラがつのってしまいます。もちろんお母さんはおっぱいをあげるまえに支度をさせて、テレビも消してと、それなりに工夫もしました。でも、Sちゃんにとっては、赤ちゃんがおっぱいを飲んでいる間は暇ですから、今度はおもちゃを出して遊びだしてしまうのです。出かける頃には部屋中おもちゃだらけ!やっぱり駆け足で幼稚園に行くことになります。赤ちゃんにおっぱいをあげているときまでガミガミ小言を言わなければならないなんて。

「もう、どうしたらいいのかわかりません。何度言ってもいうことをきかないし。私、泣きたい気分です」ほとほと困り果てていたこのお母さん。親業で『困ったときには【わたし】を主語に』を学び、早速実践してみました。

ある晩、お母さんは真剣な顔でSちゃんに言いました。
「あのね、朝、幼稚園に行く時、Sちゃんのお支度が遅いから、いつも遅刻しそうで走らなくちゃならないでしょう。Sちゃんは上手に走れるからいいけど、お母さんは赤ちゃんを抱っこしているから、走るのがとっても大変なの。赤ちゃんを抱っこしながら走るのは怖くてイヤなの」
Sちゃんはお母さんの言葉を真剣な顔をして聞いていました。小さくうなずいただけで返事はありません。

さて翌日。
目を覚ましたSちゃんは、食事が済んだらすぐに着替えをし、靴下を履き、幼稚園の園服を着ました。お弁当が入った幼稚園バックを肩から提げ、帽子までかぶって静かにテレビを見ています。出かけるまでにはまだ1時間以上も時間があります。

その様子を見ていたお母さんは、Sちゃんをかわいく感じて、思わず笑ってしまったそうです。

母親が毎朝一生懸命言っていた言葉は全部【あなた】が主語ですね。
子どもの行動が変わることを期待しても無理でしょう。もちろん「早く」と言っていることは子どもにもわかるはずです。そして、母親が怒っていることも子どもにはよくわかっているのだと思います。でも、Sちゃんの行動は変わらなかったのです。

この事例は、親が困っていることを【わたし】を主語に伝えた場合の効果がみえています。『子どもがいうことを聞いた』のではなく、親が困らないように、親の気持ちに協力するにはどうすればよいのか『子どもが自分で考えた』結果です。

『ガミガミ叱っていうことをきかせる』のと『親の気持ちを知った子どもが自分で考えて行動を起こす』のでは、子どもの成長の仕方が大きく違います。そしてなによりも、子どもを見ている親の気持ちがまったく変わってくるのです。

『困ったときには【わたし】を主語に』
あなたのお子さんにちょっとした変化が起こるかもしれませんよ。