2008年11月25日

親の気持ちに変化が起こった事例紹介

今回は能動的な聞き方をしたことで親の気持ちに大きな変化が起きた事例をご紹介します。

小学校5年の息子が学校から帰宅し、玄関で「ぶっ殺してやる!」と大声で叫んでいます。息子の目はつり上がり怖い顔をしています。身体のあちこちが泥で汚れています。その様子を見たとき、母親は、一瞬、どうしたらよいのかわかりませんでした。でも、親業を学んでいたこの母親は、あらためて息子の様子をじっと見直しました。息子に『なにかイヤなことが起こった』ことはすぐにわかります。『怖い顔』がサインであることもすぐに気がつきます。能動的な聞き方をするのは今です!

子 ぶっ殺してやる! みんな殺してやる!
母 殺してやりたいほど悔しい思いをしているんだね
子 セーター破かれた!
母 セーター破かれて悔しかったんだね
子 5人でいっぺんにかかってきた!
母 5人がかりでやられて、つらかったね
   (この三言のやりとりで、息子の顔から険しさが消え、
    声も少し落ち着いてきます)
子 お母さんが、いつも、乱暴はいけないって言うから、僕は何もしなかった・・・
母 乱暴されても我慢してたのか・・・つらかっただろうに
   (息子は突然大きな声で泣き出します)
母 よく我慢したね
子 (泣きながら)お母さん、セーターぼろぼろになっちゃった
母 私も悔しいよ、買ったばかりだもの...


私がもしも親業を学んでいなければ、帰宅した息子に、何があったのか誰にやられたのかと聞いたはずです。そしてきっと、お前にも何か悪いところがあったのではないか、なぜそんなことになったのかと、私の知りたいことを次々に問いただしたでしょう。仮に5人がかりでやられたことや、息子は我慢していたことを知ったとしても、多分こう言ったと思います。「我慢して偉かったね。乱暴されるつらさがわかったでしょう。人に何をされてもお前は乱暴をしたらいけないよ。殺してやるなんて言ったら絶対にいけないよ」と。

以前の私はいつもそうでした。つらい思いをしている息子の気持ちを汲む前に、人としての生き方を教えることのほうが大事だと考えていたからです。

能動的な聞き方をしたら、友達を心底憎らしく感じている息子の気持ちが伝わってきました。服を破かれて悔しい思いをしている息子の気持ちもよくわかりました。我慢をしていたつらさも痛いほど感じることが出来ました。息子の気持ちをこれほど共感できた自分が嬉しかったです。今までにはなかった体験です。

しかも、これまで私が息子に言い続けてきた「乱暴はいけない」この教えが息子の中で活きていたこともはっきりわかりました。私の言いつけを守り、5人がかりで乱暴をされても我慢していた息子はどれほど怖かったでしょう。私だったら多分我慢できないと思います。泣かずに帰宅するなど無理です。そう思ったとき、『この子は強い子だ、心配要らない、大丈夫!』とつくづく感じました。

翌朝、登校する息子の後姿が、大きく頼もしく見えました。以前の私なら一人で登校させるなど出来なかったでしょう。一緒に登校し、乱暴者に注意をするよう先生に文句を言ったと思います。でも、その必要はありません。あの子は大丈夫です!自分が抱えた問題は自分で解決できる子です!

この母親は、息子の精神的な強さを感じ、自分の息子をこれほどまで信頼できるようになった自分自身の気持ちの変化を実感なさり、その喜びを語っておられました。

むやみやたらに「子どもを信頼しろ」と言われても出来るものではありません。能動的な聞き方によって、今まで見えていなかった『子どもの内面の成長』を知ったとき、親には、子どもを信頼する気持ちが沸きあがってくるのです。

能動的な聞き方の効果がここにあります。

※ 能動的な聞き方についてはコラム(3)(4)でご紹介しています。