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コラム 教育

2013年05月20日

精進

 新緑が美しい季節となりました。春遅い東北の地にも桜の便りが届き、厳しい冬を耐えられた分、春の足音にホッとされていらっしゃるのではないでしょうか。春は木々が芽吹き、花々がふくよかに顔をのぞかせる季節。花の咲き方は様々ですが、その姿を見るとそれぞれが笑っているかのようです。そう”花笑う”という表現がピッタリです。

 寒い季節を耐えつつ、やがて春が来ることを信じて土の中でいっぱいエネルギーを蓄え、春風に揺れながら咲き誇る姿は、見ていて実に気持ちがいいものです。その姿は、じっと耐えた後には、必ず咲ける日がくることを無言のなかで教えてくれているかのようです。どんな草花も、それぞれがそれぞれの咲く場所で自分の存在をしっかり持ちながら、誇らしげに咲き誇こり見る者の心を癒してくれています。そこにはむやみに”我”を出すことなく、それぞれの存在を認め合いながら、それぞれが咲けるように空間の配慮がなされている雰囲気があります。

 人の世界はどうでしょうか。現代は大人の孤立が進み、社会の中で自分を守ることにエネルギーを注いでいる人が多くなりました。自分を中心に物事がまわっているものと誤解したり、形のないものは信じられないことから、地位やお金、権力、学歴などにすがったりと、人を人間らしさからほど遠いものに変えています。そして、人はそれによって評価するようになってしまいました。
 社会には、色々な職種の人がいて、様々な背景を持ちながら生きているものです。それを尊重し認め合い、人と人とが手を繋いで人という和のある社会にすることが大切なことではないでしょうか。
 弱い者の姿に目を背けるのではなく、その弱い者の姿をはっきりと見据えそれを支えていく。大人同士が手を繋ぐ社会になれば、弱い立場の子どもやお年寄りの心が見えてくるように思います。

 新しい世界に入られた新人の方々は、仕事にも慣れ、人間関係の悩みを抱える頃でもあります。そんな時は、動揺することなく人として何が一番大切なことなのかを考えそして思い出してください。どんなに偉い肩書きでも、それを取ったら誰もが一人の人間。一人の同じ人間なのです。そして一番大切なことは、全てを取りはらった一人の人間として立ったときに、どれだけの人が自分を大切な人だと思ってくれるか、そしてどれだけの人を自分は大切だと思えるかということが重要になるのではないかと思います。そのことを忘れないでいて欲しいと思います。

 この春また一歩前進した人は、今置かれている場所や肩書きに胡坐をかくのではなく”実るほど頭を垂れる稲穂かな”のことばのように謙虚な気持ちを持ちつつ、どんな立場にいても、人としての心作りを忘れずに精進していく姿が大切になるように思います。

 若葉の季節。人も生き方の中にさわやかな姿を見出せたなら、その姿を見て育つつぶらな瞳の子どもたちは、さらにキラキラと目を輝かせ大人になることへの明るい思いを深めるでしょう。
 貴方には、どんな時でも傍にいて貴方を信じそして思い、時には守り愛してくれる人がどれだけいますか。そんな本物の宝物をつくれるように、一歩一歩心をこめて日々是精進の心で歩みを進めていきたいものです。

春日美奈子

春日美奈子

春日美奈子かすがみなこ

フリージャーナリスト

國學院大學大学院法律研究科法律学専攻修士課程修了。報道畑25年の経験を生かし、少年院や教護院(現・児童自立支援施設)での実習を通し、常に現場の”今”や”生の声”を大切にして、少年問題に取り組んでいる。

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