ご相談

講演依頼.com 新聞

コラム 教育

2015年09月25日

「ややこしい、わかりにくい、めんどくさい」というフィルタリングの誤解①

 先日、PTA向けの講演会後に控室で一息ついていると、「石川さんに面会希望があるのですが…」と主催の方がおっしゃいました。

 「どうぞ」と言うと、遠慮がちに入ってこられたのは40代くらいの女性。私の講演を聴講してくださり、「質問があるのですが、講演会の場で言うのは恥ずかしくて…」とうつむきます。内容を尋ねると、「フィルタリングのことが全然わからない。子どもが嫌がるのでまったく設定していないけれど、このままでいいのでしょうか?」と言うのです。

 もちろんよくはないのですが、この手の話は珍しいことではありません。保護者や教職員の方々を取材すると、フィルタリングについての基本的な理解がなかなか広まっていないと感じます。

 実際、フィルタリングの設定率は、ここ最近減少傾向にあります。内閣府の『少年インターネット環境の整備等に関する検討会報告書』(平成26年)によると、「子どもの携帯(スマホ)にフィルタリングを使用している」と回答した保護者は約43%、つまり半数以下なのです。

 とはいえ、保護者が一方的に悪いわけでもありません。そもそもフィルタリングには、「ややこしい」、「わかりにくい」、そして「めんどくさい」というイメージがあります。こういうイメージができてしまうと、誰だって積極的にやろうという気持ちにはなれません。

 だからといって設定しなくていいわけでもないのです。2009年に施行された「青少年インターネット環境整備法」という法律で、18歳未満の人が携帯やスマホを利用する場合には、フィルタリングを設定するよう決められたからです。当然、携帯やスマホの購入時には、販売会社(ドコモやau、ソフトバンクなどのキャリア)から「フィルタリングの設定」について説明や指導を受けているはずです。

 ところが現実には、18歳未満の人すべてがフィルタリングを設定しているわけではありません。先の女性が「子どもが嫌がるのでまったく設定していない」と話したように、「ややこしい、わかりにくい、めんどくさい」にプラスして「子どもが嫌がる」という事情もあるからです。

 では、子どもはなぜフィルタリング設定を嫌がるのでしょうか? それは、「フィルタリングを設定すると、ゲームや音楽のダウンロード、LINEやニコニコ動画が利用できなくなる」という理由があるからです。

 いまどきの子どもたちにすれば、LINEが使えない、ニコニコ動画が視聴できないなんて「ぜーったい無理!」と言いたいところでしょう。だから「フィルタリグは嫌」となり、購入時に設定したフィルタリングを「はずす(設定を解除する)」という流れになってしまうのです。

 ところが、ここには「誤解」があります。フィルタリングの設定方法によっては、LINEやニコニコ動画を利用することができるのです。

 ではどうやって? という対応方法については、次回にお伝えします。

石川結貴

石川結貴

石川結貴いしかわゆうき

ジャーナリスト

家族・教育問題、青少年のインターネット利用、児童虐待などをテーマに取材。豊富な取材実績と現場感覚をもとに、多数の話題作を発表している。 出版のみならず、専門家コメンテーターとしてのテレビ出演、全国各…

  • facebook

講演・セミナーの
ご相談は無料です。

業界21年、実績3万件の中で蓄積してきた
講演会のノウハウを丁寧にご案内いたします。
趣旨・目的、聴講対象者、希望講師や
講師のイメージなど、
お決まりの範囲で構いませんので、
お気軽にご連絡ください。