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コラム 教育

2015年07月24日

視覚的コミュニケーション

 取材する子どもたちとメッセージのやりとりをしていると、あることに気づかされます。それは、文字ではなく絵やイラスト、写真を多用すること。

 たとえば「今からハンバーガーを食べに行くよ」というメッセージだったら、「ハンバーガー」の絵と「GO!」を表現するスタンプ(感情や行動などを表すイラスト、LINEで使われる)を組み合わせるのです。

 メッセージを受け取った私のスマホ画面では「GO!」を表すスタンプ、たとえばウサギのキャラクターがジャンプして、今にも歩き出しそうなイラストが表示されます。

 ハンバーガーの絵と、動きのあるウサギのイラストから、「ああ、向こうはハンバーガーを食べに行くんだな」というのが読み取れるわけです。

 こんなふうに子どもたちは、文字ではなく視覚的なコミュニケーションを得意とします。絵、イラスト、写真、動画などを用いてビジュアル的に見せる、伝えるという方法です。

 こうした傾向は、ネット上だけのものではありません。たとえば歴史の勉強。私たちおとなが子どもだった頃は、教科書の文章にラインマーカーを引いたり、年表を暗記するという方法で勉強しました。

 一方、いまどきの子どもは「マンガで読む日本の歴史」とか、「アニメ世界の歴史ものがたり」などと、そもそも「絵」で勉強することが多いのです。

「文章で書かれていると内容が頭に入らない、でもマンガだとすぐわかる」、そんなふうに話す子どもは少なくありません。

 もちろん、マンガやアニメという方法でも知識は身につきます。絵で覚える、イラストで理解するという「勉強」があってもいいでしょう。

 ただ、ビジュアルに頼るあまり、「文章を読む、書く、理解する」という能力がどうなってしまうのか、そんな懸念も覚えています。

 もともとネット上では、ホームページ⇒ブログ⇒ツイッター⇒LINE、こんな流れで個人の発信が行われています。

 10年位前まで主流だったホームページでは、公的に発信するための文章力が求められていました。そのため、文章も長々と綴られていたのです。

やがてブログが主流になると、個人の日記的な感じで、文章も軽く、短めになっていきます。

 5年ほど前から広まったツイッターでは、140字以内という制限の中で発信します。こうなると文章の起承転結などは必要なく、いわゆる「つぶやき」程度で事足りてしまいます。

 さらに、現在では文章どころか文字さえあまり使わず、絵やイラスト、動画などで伝えることが増えています。

 かわいいスタンプや、おもしろい写真を使ってのコミュニケーションには楽しさもありますが、子どもたちには視覚的な方法に頼るだけでなく、「文章」に触れてほしいと思います。

石川結貴

石川結貴

石川結貴いしかわゆうき

ジャーナリスト

家族・教育問題、青少年のインターネット利用、児童虐待などをテーマに取材。豊富な取材実績と現場感覚をもとに、多数の話題作を発表している。 出版のみならず、専門家コメンテーターとしてのテレビ出演、全国各…

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