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コラム 人権・福祉

2016年04月20日

自由という喜び

 東南アジアのミャンマーが民主化への道を歩み始めています。約半世紀に及ぶ軍事政権が続いたこの国では、民主選挙によってティンチョー新統領が就任しました。昨年11月の総選挙以来、ミャンマー国民は歓喜と興奮に包まれています。ミャンマーの国民はしきりに「自由を手にすることができる。」という言葉を繰り返します。ミャンマーの街を巡ってみると、敬虔な仏教社会が生活にしみ込み、直接目に見えてくる日常というものには周辺の東南アジアの国々と隔絶された印象はなく、大きな圧力がかかっていることには気がつきにくいとも言えます。

ミャンマー寺院ミャンマー市場

 しかし、この国で暮らす方々の声に耳を傾けていくと、軍事政権ならではの傷跡が深く刻み込まれていることに気がつきます。人、物、情報、時間、慣習など、誰しもが当たり前に手にしているものがここでは常に監視・管理されてきたと説明してくれます。自由を手にすることができるということは、自分や家族という主人公を確認できることだと語ってくれました。ミャンマーに限らず情勢が不安定な国々ではこの自由を手にするという羨望が際立ちます。

市民生活市民生活

 いま世界では戦争や天災、人災によって自由を奪われた人々が、次々と国境を越えて欧州を目指しています。民族大移動ともいえる難民の要因を見つめてみると幸せの条件である自由を、手段を選ばずに手に入れることが絶対であり、その為には命までも差し出す覚悟で国境を越えてきている。誰しもが当たり前と感じている自由への渇望がむき出しとなって世界を駆け巡っています。

中東の戦士市民の怒り

 戦闘が続く中東のイラクでも市民生活は破壊され、奪われました。いたるところで自由を手にする為に声を上げる市民の姿が重なっていき、過激派組織を生んでしまう土台が次々と姿を現してきました。子供たちが不安定な国の中でいかに生活を整えていくことができるのか。戦争、紛争、飢餓、宗教、民族などが絡み合い自由を奪う環境がひろがり、それぞれの国だけで国内問題、外交問題を解決していくことはできません。いかに人の動きや物流、情報の共有などを自由に進めていくことが求められているのかを今の世界情勢が物語っています。

自由は決してあたりまえではない、自由こそ幸せの条件であるというメッセージがいま世界中を駆け巡っています。

渡部陽一

渡部陽一

渡部陽一わたなべよういち

戦場カメラマン

1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…

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