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2023年03月13日

ウクライナ戦争の変遷

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2023年2月24日でウクライナ戦争開戦から1年を迎えました。昨年末から欧米諸国による大規模軍事支援を受けたウクライナ軍の攻勢が東南部戦線で加速。ロシア軍においてはこの1年間の戦闘で20万人規模の死傷者を出している可能性が指摘されています。さらに戦績を競い合うロシア軍指揮系統の内紛が拡大しておりプーチン大統領の強権体制が不安定化している状況が確認されました。ロシア側は大規模な死傷者を出しながらもさらなる戦闘拡大を模索。戦況を激変させるために核兵器の脅しを前面に押し出しアメリカとの核軍縮の枠組みである新戦略兵器削減条約(新START)履行停止を発表しました。年始に行われたプーチン大統領の年次教書演説ではウクライナ支援を掲げる欧米諸国の介入が戦争拡大の要因であると表現。全ての責任をウクライナと欧米各国に突きつけました。

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ウクライナのゼレンスキー大統領はロシア軍事侵攻1年の節目でロシア軍による大規模攻撃が東部地域を中心にウクライナ領内5方面で開始されたと発表。防衛体制を強めるウクライナ軍を支えるために欧米諸国による軍事支援が加速してきています。ポーランドから輸送されたポーランド軍保有のドイツ製戦車レオパルト2はすでにウクライナ側に到着。今後イギリス軍からの欧州製戦車チャレンジャー2、アメリカ軍主要戦車エイブラムス、ドイツ軍からもレオパルト2が追加支援されます。ゼレンスキー大統領はさらなる軍事支援の要としてイギリスやアメリカによる長距離ミサイルの提供も打診しました。

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2023年3月の戦闘段階でロシア軍は2014年ウクライナ内戦時に武装占拠した南部クリミア、昨年2月24日の軍事侵攻による東部ドネツク州ルハンスク州の完全制圧を戦闘実績の最低ラインと指摘しました。今後北部戦線の同盟国ベラルーシとの軍事連帯が強まることでウクライナ全域の戦況を急変させるかもしれません。さらに今年に入りウクライナ戦争停戦仲介役として中国が声明を発表しました。ロシア支援に立つ中国はウクライナ領内にロシア軍を駐留させる停戦要件を掲げ、事実上ロシア実効支配地域をウクライナ側に認めさせる主張を突きつけています。中国の存在がウクライナを巡る各国の思惑を分断させウクライナ戦争の長期化が避けられない状況に陥ってきています。

渡部陽一

渡部陽一

渡部陽一わたなべよういち

戦場カメラマン

1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…

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