2019年11月08日

イスラム国最高指導者バグダディー

 2014年6月、過激派イスラム国の建国宣言が最高指導者バグダディーによってなされました。極端なイスラム思想を強制するイスラム国の存在は、世界各国のイスラム教徒を刺激し、戦闘員としてイスラム国入りを果たす若者が急増。イスラム国の薫陶を受けた人物が祖国に戻りテロ活動を再構築させる流れが各国に伝播しました。現在、イスラム国は中東方面では壊滅状態となり、世界中に戦闘員が拡散。アジア地域にテロの拠点がシフトしていることが確認されています。

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 イスラム国のカリスマであったバグダディーは、シリア北西部イドリブ県に展開したアメリカ軍特殊部隊による戦闘で自ら自爆、家族を含め死亡が確認されました。世界各国でテロ事件を拡大させてきたバグダディーの死。それはテロの終焉を意味するものではなく、報復の連鎖を広げていくスイッチとなり後継者としてアブー・イブラヒム・ハシミがイスラム国のトップに浮上。聖戦(ジハード)を掲げた戦闘宣言につながっていきます。

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 その一方で、バグダディーの死後、シリア内戦のうねりが着地する可能性が指摘されています。シリアを軍事支援するロシア、前線部隊をシリアから撤退させたアメリカ、アメリカ撤退後にクルド人組織掃討作戦で軍を越境攻撃させたトルコ、そして内戦の制圧を遂げつつあるシリア。各国の軍事利権と情報操作が絡みあい、中東地域で各国の後ろ盾となってきたロシアの影響力が強靭なものとなってきています。9年近く続く内戦がロシアによるシリア軍事支援、さらにトルコとの軍事外交によって終わりを告げ、双方の停戦合意の履行を引き出しました。また、シリア新憲法の草稿に向けたシリア政府、反体制派、シリア国民の三者協議も同時に進み、中東のパワーバランスは今までのアメリカの軍事力によるものからロシアの舵取りにシフトしていくことが想定されます。中東に関わる大国の思惑。バグダディーの潜伏していたシリア北西部のイドリブ県は、イスラム国の管轄下ではなくシリア反体制の拠点であります。同胞とは言い切れない組織管理の土地でバグダディーが潜伏を続けていたことは、一定の権限をもつ監視体制下に絡め取られていた可能性も見え隠れしています。中東で繰り返されてきた強国による代理戦争の構図に変化が出始めてきました。今後のロシアの中東介入に注視が必要となってきています。

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