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2025年06月10日

Google検索が有料化される?

毎年5月は大きなカンファレンスがあるので例年ニュースが多いのですが、今年は特にAI関連の発表が目白押しでした。その中でも目立ったのがGoogleの発表です。

ChatGPTが発表された翌月、Googleは社内に「コードレッド(緊急事態)」を宣言しました。Googleのビジネスモデルの根幹である検索広告を、生成AIが脅かすのではないかと懸念したのです。Googleの検索広告では、Googleの検索結果に表示されるリンクをクリックするとそのクリックに対して広告費がGoogleの収益となります。かつてはGoogleの収益の90%以上が広告収入で、現在でも7割以上を占めると言われています。生成AIでは検索結果ではなく「回答」が表示されますので、ユーザーはその先のリンクに飛ばずに満足してしまうため、広告をクリックしなくなるというわけです。

Googleは世界トップクラスのAI技術を持っている(生成AIの基礎技術はGoogleが開発したものです)にも関わらず、これまで生成AIを積極的に推進してこなかったように見えるのは、このためだと考えられています。しかし、ChatGPTの発表から2年半を経過して、この懸念が現実のものとなったといわれています。Googleと米司法省との訴訟の中で、iPhoneでの検索件数が4月に初めて減少に転じたという報道があったのです。Googleは即座に否定しましたが、株価は下がりました。

そのせいかどうなのか、5月のGoogle I/Oでは、これまで抑え気味だったAI関連サービスを一気に開放して、攻めに転じたように感じます。中でも、これまで微妙に避けてきた、検索とAIの統合に踏み切ったのは大きな変化です。そして同時に発表されたのが、ハイエンドの検索サービスを有償化するというニュースでした。これは月額$200という高額なサービスですので、一般ユーザーには当面関係のない話ですが、今後の検索有料化への布石では無いかとも言われています。

これ以外にも、Googleは今年に入ってGoogle Mapsの事業者向けの利用料金を改定するなど、広告に頼らない収益基盤を増やそうとしているように見えます。生成AIによって可能になったことは非常に多いですが、その反面で、そのためのコストはいつかはユーザーが支払うことになる、ということも知っておいたほうが良いでしょう。

大越章司

大越章司

大越章司おおこししょうじ

株式会社アプライド・マーケティング 代表取締役

外資系/国産、ハードウェア/ソフトウェアと、幅広い業種/技術分野で営業/マーケティングを経験。現在は独立してIT企業のマーケティングをお手伝いしています。 様々な業種/技術を経験しているため、IT技…

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