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2008年06月02日

社員の相手に完璧を求めない人間関係

私たちは、日々のビジネスにおいて
様々な相手とコミュニケーションを図っています。
人とコミュニケーションを図っていく中、大抵の人は、相手に対して
「本来、こうあって欲しい」という願望を持ちますね。

自分の心の中で相手に抱く「こうあって欲しい」とは、言うなれば、
自分の頭の中のイメージとして
“相手のあるべき理想像”を構築しているということです。
これは、言葉を換えれば、「相手に完璧を求める」ということでもあります。

通常、私たちがビジネスにおいて相手に対して抱く理想像といえば、
「約束を守る人であって欲しい」
「礼儀作法がしっかりとしている人であって欲しい」
「仕事における自分の責任・役割を果す人であって欲しい」
「”いざ”というときに力を発揮してくれる人であって欲しい」などですね。
しかし実際、一事が万事において、自分が接する相手が、
「相手に抱く理想の人物像」として動いてくれることはそう多くはないと思います。

日本でも海外でもそうですが、人間関係を構築することがうまい人は、
「相手に完璧を求めない人」であることがほとんどのように感じます。
日本人でも外国人でも、人づきあいがうまい人は、
他者と接するとき、概して、以下のような考え方をするものです。

「この人は、約束に従って100パーセント完璧に実行する人ではない。
だが、彼は、言ったことの大半はやってくれる。
私としては彼の対応には多少の不満があるが、
話をしているときの笑顔が素敵だから大目に見てあげよう!」

読者の皆さん、今、これを読んで「えっ?」と思われたことでしょう。
「笑顔が素敵だったら、何でも許されるの?」と感じた人が多いと思います。
皆さんの中には、「これでは仕事にならない」と感じる人が多いと思います。

確かに、約束は、100パーセント守るべきです。
特に、”文書で定めた契約”は、絶対に守るべき最低限の約束事です。
しかし、現実問題として、日々のビジネスシーンにおいて、
自分が接する相手に対して、文書で定めた契約に基づく
「相手との接し方」「相手に振舞う顔の表情」しかできない人は、
結局、ビジネスパートナーと深い信頼関係を築くことはできません。

契約は履行するべき最低限の約束ですが、
実際、日々における一つひとつの細かな仕事は、
「生身の人間同士のコミュニケーション」を通して成り立っているものです。
型にはまった考え方・捉え方しかできない人は、接する相手の心の中で、
「この人はつまらない人だ!」「この人は融通のきかない人だ!」という
ネガティブな印象を持たれてしまい、進行中の案件はともかく、
新規の案件は成立しないという事態も起こり得ます。

無論、この話は「程度の問題」でもあります。
相互に交わした約束が文書上の約束なのか、単なる口約束なのか・・・。
さらには、完璧に履行されないと大問題となる約束なのか、
あるいは、そうでないのか・・・、など。

言うまでもなく、約束は約束です。
それは、どんなことがあっても守られるべきことです。
ただ、私自身、経験上、一つ感じることがあります。
それは、「概して、完璧主義者は人から嫌われる」ということです。

人は大抵、自分が関わるすべてのことについて
何でもパーフェクトに進めようと考えている人の
心の中には入っていかないものです。
ビジネスというより”人間関係そのもの”について述べるなら、
「普段はしっかりと約束を守るが、時にはずっこける人」「仕事の話をしているのに、
いつの間にか、仕事とは全く関係のない話をしてしまう人」は、
しっかりと人の心を掴みます。

今回は、”常識人”として必要な責任・役割を果した上で、
1)「相手に完璧を求めない」、そして、
2)「あなた自身、度を越えた完璧主義者にはならない」
というスタンスを心掛けてみることを提案します。

闇雲に相手に対して完璧を求めるのではなく、
相手が常にベストな状態で仕事ができるように、
“愛情”を持って心配りをしてみましょう。
「相手に求める」のではなく、
極めて能動的に「相手に与える」を基本スタンスとした
ビジネスコミュニケーション術を実践すれば、
人間関係はもちろんのこと、
幅広い人脈を築いていくことも可能となるはずです。

生井利幸

生井利幸

生井利幸なまいとしゆき

生井利幸事務所代表

「ビジネス力」は、決して仕事における業務処理能力のみを指すわけではありません。ビジネス力は、”自己表現力”であり、”人間関係力”そのものです。いい結果を出すビジネスパーソンになるためには、「自分自身を…

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