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2020年08月18日

地方とスマートシティ

これまで、地方におけるIoT・AIの必要性や問題を解決するための手段としての「地方版IoT推進ラボ」の活用についてお話ししてきました。今回は、より大きな視点から街を捉えた「スマートシティ」についてお話しします。

スマートシティとは、国土交通省の定義によると、「都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区」のことです。つまり現在、各企業が生み出しているIoT・AIの技術やサービスを点とすると、それらをつないで線にすることで利便性を高めた街がスマートシティということになります。

以前もお話ししましたが、地方では「高齢化」と「人手不足」が進んでいること問題となっています。そこにIoT・AIを導入することで、街を丸ごと新しい街に生まれ変わらせて問題を解決しようという構想です。

具体的には、地方では公共交通機関が行き届いていないため、買い物や移動が困難ですが、そこで自動運転の車を走らせれば、その問題を解決できます。スマートシティの場合、地上を走らせるのではなく、地下に地上の一般道とは別に自動運転車専用の道路を作って走らせるのです。そこには歩行者や人が運転する車は入れませんが、自動運転車だけならAIがコントロールするので、事故が起こるリスクはほとんどなくなります。

実際にトヨタは、人々の暮らしを支えるあらゆるモノやサービスがつながる実証都市「コネクティッド・シティ」のプロジェクトを進めており、静岡県裾野市の工場跡地を利用して、2021年初頭に着工する予定です。

現実的には、すでにある町や村に先ほど述べたような自動運転車専用道路を作るのは、非常に難しいことです。トヨタのコネクティッド・シティは、何もない土地に新たに作り上げるという意味で、実現可能なのだと思います。

では、すでに存在する町や村はどうしたらよいでしょうか。

長野県伊那市では、ドローンを使った買い物支援サービスが実証を重ねた上で実用化され、実際に2020年8月5日から事業が始まっています。これは、KDDIと伊那ケーブルテレビジョンの協力を得て、市が運営主体となって進めている取り組みで、買い物の困難な住民が、食料品などの日用品をケーブルテレビのリモコンで注文すると、商品がドローンによって当日配送されるというものです。

注文された商品は、ドローンを使って近隣の公民館まで配送され、利用者はドローンの着陸地点である近隣の公民館に荷物の受け取りに行きます。取りに行くことができない場合は、ボランティアが配達を行います。商品の代金の支払いは、ケーブルテレビ利用料と一緒に口座振替で支払うため、手間がかかりません。

ドローン使用の規制のない山間部であることを利点として、ドローンを配送手段として活用しているのです。利用者は、わざわざ遠くまで買い物に出かけていく必要がなく、利便性が飛躍的に向上します。

このようなサービスが広がっていけば、そこに新たな雇用が生まれる可能性もあります。この度のコロナ禍でリモートワークが急速に拡大していますが、地方が便利になり、オンラインで仕事ができるようになれば、地元を出てわざわざ都市部に出ていく必要がなくなります。また、いったん地元を出ていった人も、戻ってくる可能性が出てきます。

スマートシティという壮大な構想を実現する前に、一つ一つの問題を解決することで、地方での仕事が活性化する可能性があるのです。そうなると、豊かな生活のベクトルが変わってきて、地方における暮らし方においても多様化が進んでいくことが考えられます。

そこで私が考えるのは、スマートシティと相性いい商店街の活性化です。地方の商店街は、シャッター街と化しているところが少なくありません。そこで、空いている店舗をホテルにして、朝食は近くの喫茶店で取ってもらうようにします。すると、商店街の中に人の行き来が起こり、喫茶店にはお金が入ります。そこにITを導入して、商店街をIT化することでスマートシティの一歩手前を実現することできるのです。

ちょっとしたアイディアとITで、地方の町も便利になるところが、まだまだあると思います。

久原健司

久原健司

久原健司くはらけんじ

株式会社プロイノベーション代表

1978年生まれ。 2001年東海大学工学部通信工学科卒業後、ITの人材派遣会社に入社。大手コンビニエンスストアのPOSシステム保守運用業務を担当する。2003年からソフトウェア開発会社で、システム…

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