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2011年12月22日

企業の研修費と景気の関係

研修会社をやっていて、非常によく聞かれる質問の一つに「これだけ景気が悪いと、研修をする企業も減っているんですか?」というものがあります。収益が上がらない中で、企業が経費削減に走ると、研修費もその対象になりますよね、という趣旨の質問です。経費削減と言えば、交際費や広告費がよくその対象となりますが、皆さんは、研修費は実際にどうなっていると思われるでしょうか?

産労総合研究所が、毎年発表している「教育研修費用の実態調査」(今年で35回目)によりますと、企業が従業員一人当たりにかける教育研修費用は、2008年から2010年まで、43,524円→34,633円→40,354円と推移しています。では、景気が良かったときはどうだったか。同じ調査で最も研修費が多かった1991年、バブルの最終年と言ってもいいと思いますが、この年が43,217円でした。増減はありますが、1987年に初めて3万円を超えてからは、2010年まで3万円~4万円程度に落ち着いています。

これは私の実感とも一致するのですが、研修費というのは、景気によってそう大きく増減しない、経費削減の対象には入りにくい費用なのだと思います。リーマンショックの際は、さすがに研修の仕事が相当落ち込むのでは…と内心ヒヤヒヤしていたのですが、現実はそう影響はありませんでした。ほとんどの研修は、今期の業績のためにやるのではなく、人材育成や組織の活性化といった先々の成長のために実施するもので、多くの経営者は、”削減可能な費用”というよりは”欠いてはいけない投資”という見方をしているのかもしれません。

いや、経営者から見れば、1人3~4万円というのは、かなり安いのかもしれません。例えば、月額30万円の給与を払うと、会社負担の社会保険料として毎月4万円超を収めないといけませんから、その程度の額と言えばそうです。社員旅行をすれば、1回で1人3~4万円はかかりますし、社員旅行を嫌がる人も増えたので、それならそれを研修に使おうという社長も少なくないように思います。研修を、節税に使う経営者もいます。決算が近づいてきて、相当の利益がでることがはっきりしてくると、税金で持っていかれるより何かに使いたいと考えるわけですが、そのときに、全てお金で配分して終わりにするよりも、以前から気になっていた組織面の問題解決にお金を使おうと、かなりの額を研修につぎこむ会社もありました。

私は、研修予算はこれからだんだんと上がっていくだろうと予想しています。それは、次のような理由です。一つは、外国人採用や海外進出が進んでいくと、外国の習慣や文化を理解することや、外国人との相互理解という新たな学ぶべき課題が出てくること。二つ目は、年金の支給開始年齢の引き上げとともに定年延長がますます進み、組織内の年齢差が50歳近く(70歳のベテランと20歳の新人)まで開くと、マネジメントに関する悩みが大きくなってくると考えられること。三つ目は、定型作業が賃金の低い新興国に移っていくと、日本の会社では付加価値の高い仕事だけが求められようになり、そのためには、これまでのような研修制度、学習姿勢・意欲では通用しないことが明確になるだろうと思うからです。

とは言っても、景気が低迷する中で、研修費を増やし続けることは難しいので、企業経営としては、管理費全体を見渡して、配分を見直し、メリハリをつけながら、戦略的に育成投資に振り向けていく必要があるのでしょう。

川口雅裕

川口雅裕

川口雅裕かわぐちまさひろ

NPO法人「老いの工学研究所」理事長(高齢期の暮らしの研究者)

皆様が貴重な時間を使って来られたことに感謝し、関西人らしい“芸人魂”を持ってお話しをしています。その結果、少しでも「楽しさ」や「気づき」をお持ち帰りいただけていることは、講師冥利につきると思います。ま…

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