2016年10月20日

産休育休後の働き方とキャリア、二つの根本的な問題

ここ最近、企業研修や講演のご依頼で増えているのが「産休育休後の働き方とキャリアについて」です。様々な業界や企業にてご状況をお伺いしていくと、根本的な問題が二つ出てきます。

一つは「残業ありきの考え方」です。そしてもう一つは「そもそもキャリアビジョンを本人も会社も上司も考えきれていないこと」です。

まず残業についてですが、ライフイベントは人それぞれ異なり、育児中以外の人も早く帰ることができるなど、柔軟に働ける仕組みを考える必要があります。もちろん、このことはさんざん各企業で議論しているテーマではありますが、日本の根本的な問題として「遅い時間まで、もしくは24時間サービスがあって当たり前」の状態が挙げられます。そしてそれが、競合よりも長時間やっているかどうか、便利かどうか、どこにでもあるかどうかなど、競争のポイントになってしまっています。しかし一方では、ネットを活用する人が広がっており、若い人や老人を中心に、足を運ばなくてもモノを購入し、自宅へ届けてもらう仕組みに世の中がシフトしています。ネットで物を購入する比率が高まり、配送システムが充実すれば、おそらく多くの人はリアルの店舗が遅くまでやっていることにメリットを感じなくなるのでは、とも思われます。

ということで、今はその移行期なのかもしれませんが、様々な企業がこの現状の解決策を模索しています。例えば「育児中の人も出社できるような仕組みを」ということで、セブンイレブンは首都圏3拠点で、祝日に限ったスポット保育の制度をスタートしました。このように制度やサポートを柔軟に変えていくこと、そしてもう一つ、働く側が早く帰る習慣を意識することも重要です。

意識を変えるのは、評価者である上司と部下である本人です。まだまだ自分の部下が早く帰ることに抵抗のある上司がいます。実際、私のところに相談に来る女性たちは、長時間労働の理由として「なんとなく帰りづらくて・・・」とおっしゃる方が後を絶ちません。帰ると評価に響くから、目立つから、ということが理由です。これは上司の問題でもありますが、本人も早く帰る習慣を自ら意識する必要があります。そのタイミングは育休後の時短の時ではなく、もっと前からです。産休育休、出産前から早く帰る習慣を作るのです。帰りづらいからといって残っていては、何の改善にもなりません。早く帰るけれど結果は出す人というイメージを定着させるのは、この時です。誰かが変えてくれるのを待っていても、「残業できる人」「残業する人」の概念は覆せません。時短を使う前から、「早く帰るけれど成果を出す人」アピールができていれば、時短になって急に早く帰るようになって困るということにはならないのではないでしょうか。

さて、もう一つの課題であるキャリアビジョンに話を移します。自身がこれからどう働いていきたいのか、どうなっていきたいのかなどが明確にできていないまま、結婚や出産のタイミングに悩み、そのまま産休育休、時短制度を使い始め・・・。こういう方、実に多いと感じます。また、上司が女性部下をどう育てたいのかビジョンを持っていないこともやはり多いようです。

キャリア相談に乗っていると、ビジョンを明確にした人とそうでない人とでは、ライフイベントの乗り越え方が全く異なっています。前者は「自分の実現したい、なりたい未来を得るために」を前提に、どうライフイベントを乗り越えるかを考えていますが、後者は「その時になったら考える」、あるいは「会社の制度が手厚いところを選ぶ」、「続けやすいか、制度が使いやすいか」が会社選びの目的になったりしています。そういった方の中には、働き続けづらい環境の場合、出産を機に仕事を辞めるという選択をされる方も少なくありません。

このように本人の課題もあるのですが、一方では上司が女性部下のビジョンを描けていないことも・・・。「男性部下のビジョンはわかるんだけど、女性部下はイメージできないんだよね。」先日もある管理職の方がそんな風におっしゃっていました。上司の方達に男女問わずビジョンを描くサポートをしてもらえるよう、研修では部下とのキャリア面談の仕方、ライフイベントを含んだキャリアデザインのサポート方法を学んでいただいています。

まだまだ長い仕事と人生。ある程度計画的に、主体的に切り開いていく必要があるようです。