2016年08月19日

マミートラックなど産休育休明けの課題

先日、ある女性向けのセミナーで、受講者のおひとりがセミナー終了後に駆け寄ってこられ、ご相談というか、後悔の気持ちを吐露されました。「子育ても大事にしながら、自分のキャリアも大事にしてくればよかったです」と。

マミートラックという言葉をご存じでしょうか。産休育休を経て、時間短縮制度を利用して会社に復帰する女性は増えていますが、例えば16時までの時短制度を使っている人に対して、周囲は16時までに終わる仕事、突発的な対応のないルーティンワーク中心の仕事を振ってきます。周囲の人たちには悪気はなく、むしろ配慮の気持ちです。今は子育てが大変だろうから無理しなくていいよ、家庭が第一だから!こんなセリフで申し訳なさそうなワーキングマザーに配慮してくれるのです。それが続くと、「あの人は16時までの人だから」というイメージが定着していき、やはり仕事も16時までに終わる仕事を中心に振られ続けます。これがマミートラックと言われるもので、気が付いたらずっと同じところをグルグルと回り続けている状態です。

さて、先日の受講者がおっしゃるには、

「本当に子供が小さかったころは、周囲の配慮がありがたかった。だから、みんなに迷惑が掛からないように、できることを一生懸命やりました。下手に仕事の幅を広げるのもみんなの迷惑になるから、ルーティンワークを中心に、みんなのサポートに徹してやってきました。でも子供の手が離れた今、キャリアアップできていない自分に気が付いて、後悔しかありません。」

とのこと。

キャリア相談でも子育て中の女性がいらっしゃいますが、その悩みの中には、「このまま会社の好意に甘えて時短を延長してもよいかどうか・・・」といったものもあります。子育て中の時は、どうしても「今」しか見えません。今が忙しいので、自分のこと、ましてや自分の未来のことを考える時間なんて作れないものです。そして年月の経過は忙しいほどあっという間で、気が付いたら子供もすっかり大きくなっているのです。

今を生きることはとても大事ですが、後悔しないためにも、きちんと自分の人生は自分のものとして考えることが大事です。

というのも、昔のように「将来は息子に養ってもらうから(笑)」なんて軽口も通用しない世の中になっていくからです。子供を自立させることは育てるために必要ですが、同じく自分自身の自立も、やがて大きくなる子供に迷惑をかけないためにも大事なテーマなのです。

そこでキャリア相談では、10年後の自分は仕事でどうなっていたいのかをじっくりと考えてもらいます。多くの方は「そんな先まで考えられません」とおっしゃります。しかし、10年後には35歳の方は45歳、40歳は50歳になっています(当たり前ですが)。そして、定年を65歳とした場合、10年後を迎えてもそこから15年、20年とまだまだあるのです。更に言えば、65歳で退職した後の人生もあり、90代まで生きる女性は2人に1人と言われています。

こう考えると、自分の人生と向き合っておかなければ、年を取ってからの生き方にも影響が出てくると言えるでしょう。

育児だけでなく介護も同じです。家族のことが忙しいと、自分のことは後回しになりがちですが、だからこそ客観的に、トータル的に自分がどうしていきたいのかを見つめる必要があります。

さて、そんな様々なライフイベントを抱える部下を持つ上司も、そのあたりの認識をもって、部下のキャリア相談に乗ったり、本人が活躍し続けられるように仕事を振ったり、指導したり、といった役割を担っていくことが必要となっています。

お互いが自立して働ける、力を付けられる組織づくりは欠かせません。