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2024年01月10日

日本のD&I推進における現状と個々のキャリアアップのサポート方法

D&Iへの取り組みが各社加速しています。私はかれこれ10数年以上、様々な企業のD&I推進のお手伝いをしていますが、最近着手していなかった、または途中で挫折された企業がD&Iに取り組み始めているのを実感しています。その背景ですが、「無形資産」を投資判断の指標として評価する傾向が高まっていることにあります。投資家をはじめ、ステークホルダーは、企業の将来性を判断するために人的資本経営に関する情報開示を強く求めるようになっているのです。すでに上場している企業は勿論のこと、IPO準備企業、人材不足になりがちな中小企業にとって、組織発展と継続において企業価値を高めるために、資金調達のためは勿論、人材獲得にも魅力的な企業となるべく、「人的資本」は大事な指標となっています。

特に日本が他先進国と比較して後れを取っているのが、「女性活躍」です。メディアでも度々取り上げられていますが、ジェンダーギャップ指数と言われる世界経済フォーラム(WEF)による男女格差の度合いを示す指数によると、現在日本は146カ国中125位で、前年から9ランクダウン。順位は2006年80位の公表開始以来、最低となってしまいました。ちなみに分野別にみると、政治が世界最低クラスの138位、経済は125位となっています。(指数は、医療、教育、政治、経済の4指標)特に経済部門では、日本の女性活躍推進の足を引っ張っているのが「推定勤労所得の男女比(100位)」と「管理的職業従事者の男女比(133位)」です。

この背景から投資家やステークホルダーから特に厳しく指摘されるのが、女性管理職登用目標と男女の所得格差です。

さて、このような流れの中、女性管理職登用のための女性リーダー育成に合わせ、最近では、一般職から総合職への転換を促すための研修や講演のご依頼が増えていますが、当事者となる女性たちは、どのように感じているのでしょうか。

女性リーダー育成と一般職から総合職への転換も共通しているのが「変化への後押し」です。入社当初はそのような期待を言われてこなかったのに、急にキャリアを変えろ、と言われることに戸惑う女性たちが多いことを感じます。

私はキャリアカウンセラーとして、経営課題の解決と、個々に合わせたキャリアアップの形の両軸から検討せねばなりません。悩ましいのは、会社の動きとしては、管理職になってほしい、と期待されている一方で、それを望まない社員もいる、ということです。
コラム図

女性リーダー育成や一般職から総合職への転換のための研修では、まず受講者それぞれの属性を表のような形で捉えます。参加される人それぞれの本音や状況が違うので、そこを受け止めた上で、本人に合わせたサポートを心がけています。前提として、組織貢献と自己成長のためのキャリアアップ意識は持っておいていただきたいことはお伝えするので、会社からの期待である、管理職や総合職転換への道は望まない場合、違うやり方での活躍を考えていただきます。

さて、話は戻りますが、それぞれの群の課題とサポート方法について説明したいと思います。

B群は会社の期待を受け止められているし、自分も期待される方向に向けての活躍をしていきたい、と最も納得感のある人たちです。しかし、中には、頭では理解できているし、チャレンジした方がよいとわかっているが、今一歩踏み出せない、というケースもあります。その場合は、どうしたら安心して一歩踏み出せるのか、を丁寧に考えていきます。続いてA群は、わかってはいるけれど、自分はいいや、と思っているイメージです。このA群の人たちは、未来が描けていないなどの自己理解不足があります。また、女性だから、という理由ではなく、あなたに期待したい、というメッセージが必要です。簡単に言うと、分のキャリアと会社の変化がリンクしていないので、そこをリンクできるようなサポートが必要です。C群D群は、なんでこんなことをやらなきゃならないの?女性ばっかりおかしくないですか?逆差別です!といった不満の声が上がってくることがあります。そこで、まずモチベーションアップをテーマにする前に、なぜこのような取組みを会社がしようとしているのか、会社のやっていることや経営課題、他国や他社の動きなどを説明し、まずは理解することから一般論をデータを用いてお伝えしていきます。ちなみにC群D群共、本人のモチベーションが低い理由が会社の変化とリンクしていない可能性があります。そのため、この群には、会社や世間の動きを理解した上で、自分はそれを踏まえてどうしていきたいのか、の自分らしいキャリアアップを検討していただきます。最終的に会社の施策とリンクされる方もいらっしゃいますが、違う方向を見つける方もいらっしゃいます。全員が管理職など、会社からの期待通りの活躍を目指す必要はないものの、会社への貢献や自身の未来を考えた活躍は必要です。ですので、自分ならでは、の頑張り方を見つけていただくのがゴールです。もちろん、中には会社の取組みを理解できると、スイッチが入ってB群に一気に移行される方もいらっしゃいます。

このように自社の診断をしていただくと、まずは傾向が見えてくることでしょう。更に個々の声を拾っていくと、実は様々な人がいます。ひとつひとつ、本音を拾ったりして研修の中でそれぞれの気づきを得ていただく丁寧なサポートが必要だと実感しています。

会社と社員の目指す点と点がたくさんリンクするとよい組織になれることでしょう。社員は一人一人異なりますから、すべての点と点がリンクするのは難しいですが、リンクの数が多いほどお互いがハッピーになれることと思います。

藤井佐和子

藤井佐和子

藤井佐和子ふじいさわこ

キャリアアドバイザー

個人と企業からの依頼によるキャリアカウンセリングは、延べ17,000人以上の実績。学生からシニア層まで年齢や性別を問わず、自分らしいキャリアデザインをするための選択とアクションに向けたカウンセリングを…

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