2012年12月20日

女性部下の評価 ~個々のプロセスを認め、受け入れる

「女性部下のどのあたりを評価してあげたらいいのか、迷うことがある」。

先日、管理職向け研修でそうおっしゃる40代の男性・Aさんにお会いしました。このお悩みを詳しくお伺いしたところ、Aさんは30代前半の総合職の女性を評価する際、「よくやってくれている。でも、もう少し論理性を身につけてほしい」とフィードバックされたそうですが、女性の反応が芳しくなかったそう...。さてこのフィードバック、どこに問題があったのでしょうか。突き詰めていくと、女性活用を推進する上での大きな課題が見えてきました。今回は、女性部下の評価から、女性活用推進を考えていきます。

今回のフィードバックの問題点は2つあると思います。まず1つ目ですが、「よくやってくれている」という表現です。あまりにも抽象的ですし、そもそもひとは評価される際、「どこを評価してくれているのか」「今後、何をどのようにしてほしいのか」などを具体的に伝えてもらえなければ不満を感じますし、次のアクションが起こしづらいもの。(※これは女性だけに限りません)

Aさんがなぜそのような言い方をしたのか理由を聞いてみると、「女性部下の、どの辺を評価したらいいのかわからなくて...。でも、一生懸命やっている姿を目にしているから、そこを褒めた」とおっしゃいました。「男性の部下には同じようにフィードバックしますか?」とお伺いしたところ、案の定、しばらく考えて「いや、そんなことはない」とのこと。深層心理を突き詰めていった結果、この管理職の方は、女性社員と男性社員を並べて考えていませんでした。

この会話のなかで、Aさんは女性部下が、男性と同じように将来活躍しつづけることが想定できておらず、未来を育てる意識が欠けていたことに気付いて頂くことができました。Aさんは、「元々女性が仕事を頑張ることは嬉しいし、評価したい気持ちはある。しかし、我が社には女性で長く活躍している人がいないのでイメージしづらかったんだと思う。それに、女性はいつ結婚や出産で仕事を辞めるかわからないし...」とおっしゃっていました。

Aさんだけでなく、女性が長く働くことがイメージしづらい今の日本、このようなことが各所で起こっていると言えます。その現状を変えるには、会社や社会全体で、女性が定年まで働くイメージを明確にして関わる、育てることが大事ではないでしょうか。

私の研修では、5-10年後、女性が「自然に」活躍しているだけでなく、多様化している価値観、雇用形態、国籍の部下がチームとして機能する様子をみなさんで想像し、描いていただくように心がけています。そうしないと、女性との関わり方がイメージしづらいからです。


さて、Aさんのフィードバックの内容でもうひとつの問題点を見ていきましょう。それは「論理性を身につけてほしい」という箇所です。もちろん、それ自体が悪いことではありませんが、男性が女性に、男性と同じやり方を求めている心理がうかがえます。

男性と女性は成果につなげるための考え方、行動が異なります。それは科学的な研究結果でも分かっていることで、成績が同じ男女の脳をMRIで調べたところ、答えを出すために使っている脳が異なっていたとのこと。男性が使うのは空間認識能力で、女性が使うのは主に前頭葉。同じ成果を出すとしても、男女ではそのプロセスが異なるのです。

人は「自分と同じやり方」をする相手を認めがちです。自分と同じようなやり方の方が安心しますし、無意識にそれを強要しようとすることがあります。Aさんは自分とは違うスキル、やり方で成果を挙げる女性に違和感を持ち、評価する際に、自身と同じ、論理性を持って仕事を進めるやり方を求めてしまったようです。

確かに、仕事で論理性を持つことは"ツールとして"大事なことです。しかし、これはあくまでもツールなのです。ツールとして身につけさせる、という教育は間違っていませんが、その前に、「その人らしいやりかたを評価すること」が必要なのではないでしょうか。同じ成果を出すのであれば、プロセスは個々の得意なやりかたでよいと認め、受け入れるべきなのではないでしょうか。

ちなみに、リーダーとして成功している女性が使っている特徴は、「受容」「共感」「コミュニケーション」「育成」「公正・平等性からの信頼構築」など。一方、男性はというと、「論理性」「問題解決」「洞察力」「優先順位づけ」だそうです。このキーワードだけでも、男女の大きな違いが見えてきます。女性は、様々なところに目を配り、(縦ではない)フラットな人間関係を築きながら、気持ちに働きかけて仕事をしていくのが特徴のようです。これは、男性にはなかなか見えづらい特徴かもしれません。そうすると・・・評価しづらい、になってしまうのです。


その人らしいやり方を評価し、活かしていくためには、まず、自分とは異なるプロセスを受け入れる、そして、そのために、相手がどのように成果に結びつけるのか、の過程もちゃんと見ていくことが、これからますます大事かもしれませんね。違いは間違いではありませんから。