前回に引き続き、社員のキャリアサポートについて、です。
今回は、周囲のサポートの課題として、管理職に必要なスキル不足について触れたいと思います。今どきの管理職に必要なスキルは、「多様なメンバーの評価ができること」「キャリア面談で本人の将来を一緒に考えられること」ことです。しかし、そこができない管理職は少ないことを感じます。特に大手日本企業に管理職のスキル不足を実感しています。
管理職がスキル不足を感じてしまう背景
スキル不足の理由ですが、これは当人だけの問題ではありません。お分かりかと思いますが、現在、大手日本企業の管理職の職位に就いている方の多くが、40-50代の男性です。私自身もその世代ですからわかりますが、特に男性は、いわゆる、「いい大学」を卒業すれば、「いい就職」ができる時代でした。「就社」なんて言葉がありますが、いい就職ができれば、第一段階目のゴールで、そのあと係長、課長、部長を目指していく、というのが王道のキャリアパスでした。そのためには転勤や異動も受け入れて・・・いわゆるメンバーシップ型の特徴的なキャリアパスです。
そのようなキャリアを歩んできた管理職に、今の時代のキャリアサポートは、難易度が高いのは当然ですし、ましてや彼らのパートナーの多くが専業主婦。同年齢の女性たちは、寿退職していく時代を生きてきましたから、現代の女性部下が働き続けるためのサポートなんて、更に悩みます。共感や想像をしたくても、なかなかできないのが現状です。
部下のキャリア支援は日本企業も外資系企業も共通の悩み
ちなみに、外資系企業では、以前からジョブ型ですから、自身のジョブの中でのキャリアパスが合わなければ、あるいは合わなくなってきたら転職でキャリアアップ、が普通でした。私は、外資系企業でもキャリア支援をしているのですが、まだ外資系企業の管理職の方の方が、自身も転職経験あり、という方も多く、部下のキャリアサポートについて理解しやすいようです。ただ、一方で、自分のキャリアは自分で考えて作るもの、転職も自己判断でやってきた人たちです。そうすると、自身のキャリアパスに興味はあっても、部下育成の観点のない方もいらっしゃいます。ジョブ型の特徴は、誰かが辞めたら、ジョブの条件に合う人を採用してくる、という考えですが、今や人材不足、条件に合う人がすぐに見つからない世の中ですから、外資系企業の課題も長く働き続けてほしい、に変化してきています。
結果、日本企業も外資系企業も、部下のキャリア支援を上司がすることが共通の課題となっているのを実感しています。
まずは管理職に向けたキャリア教育を
話は戻りますが、管理職が部下のキャリア支援をできるように教育することはマストです。1on1(ワンオンワン)で任せっぱなしです、という企業も多くありますが、これは危険です。さて、管理職の方の教育では、何をしたらいいのでしょうか。
私が教育に携わる際、以下のコンテンツで実施させていただいています。
- キャリア自律が必要になっている背景、今と昔の違い
- なぜ管理職がメンバーのキャリアサポートをする必要があるのかを理解
- キャリア理論を元にビジョンや現状の棚卸しの方法を学ぶ
- 自分とメンバーが違うことを理解するワーク
- コーチング力、質問力を学ぶ
なぜメンバーのキャリア支援を自分がしなくてはいけないのか、を理解していただいた上で、やり方、必要なスキルを習得していただきます。
そして何よりも、自分のキャリア自律を考えていただくために、管理職のキャリア研修を実施します。
いかがでしょうか。少しコストが掛かるかもしれませんが、管理職自身にとってもたくさんのスキルが身に付きますし、何よりもご自身のキャリアの解決にもつながります。
藤井佐和子ふじいさわこ
キャリアアドバイザー
個人と企業からの依頼によるキャリアカウンセリングは、延べ17,000人以上の実績。学生からシニア層まで年齢や性別を問わず、自分らしいキャリアデザインをするための選択とアクションに向けたカウンセリングを…
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