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2021年10月22日

キャリア形成を阻む自分に向けたアンコンシャスバイアス

企業研修を実施する際、自律的キャリアとアンコンシャスバイアスの両方を盛り込んでもらえないか、というご依頼があります。まず、自律的キャリアは、受講者がそれぞれ、自己責任のもと、自分らしいキャリア形成をするための意識と考え方をお伝えし、自分に向き合っていただく、という内容です。そして、アンコンシャスバイアスは、無意識に持っている偏見を取り除き、チーム活躍、自分の活躍の幅を広げる、といったものです。

自律的にキャリアを創るためには、一人ではできません。周囲がその人に対するバイアスを外し、期待してくれることで、その人の可能性が広がります。また、当の本人も自分にバイアスを掛けてしまっていることがあります。それは、自分には無理、という偏見。

これらを外すと、その人の未来は、まだまだ広がっていきます。

アンコンシャスバイアスは、誰もが持っているものです。例えば、男女間のバイアス。普通女性なら、とか、女性にはかわいそう、とか。よくあるのが、上司が、子育て中の女性には難しいだろう、と期待や任せる仕事の範囲に制限をかけてしまうこと。上司は良かれ、とその人に配慮しての行動ですが、部下はそうは受け取れません。先日、ある企業のキャリア研修の際に受講者に事前のアンケートを取ったのですが、時短勤務中の女性部下が上司から「両立は辛いだろうから眠かったら寝ていていいよ」と言われて、戦力外通告をされた気分だった、との内容がありました。人は、期待されていない、と思うと、やる気が下がり、自分の行動に制限が掛かってしまいます。

一方で、自分が自分に向けたアンコンシャスバイアスも大きな課題です。米ヒューレット・パッカード社が行った社内調査によると、社内公募があった時、男性社員は要求水準の60%を満たしていないと感じても、とりあえず応募してみる。一方、女性社員は要求水準を完全に満たしていると確信が持てなければ、応募をためらう。というデータを見かけました。(『ゴールドマンサックス流 女性社員の育て方、教えます励まし方、評価方法、伝え方 10カ条』キャシー松井氏著書から抜粋)

女性が「要求水準を完全に満たしている、と確信を持つ」段階は、100%ではなく、120%、と言われています。

女性特有、と言われますが、これは性格によるもの、つまり、自己評価の高さ低さです。自己評価の低い人は、周囲がいくら褒めても、できている、とフィードバックしても、そんな風に言っているけど、大げさなんじゃないか、と相手を疑い、何よりも自分のことを疑っています。またうまく行かないんじゃないか、とか、どこかで失敗するんじゃないか、と。もちろん、過信しすぎないといったリスク管理は大事ですが、自信が持てないせいでやりたいことに制限が掛かると、キャリア形成に影響が出ます。

研修や講演では、自分に対するアンコンシャスバイアスチェックシートを実施してもらうことがあります。これは、どの程度自分自身を評価してあげられているか、自信を持っているか、を測るものです。すると、意外!と言われる人がチェックがついていることがあるようです。グループワークの会話を聞いていると、「〇〇さんがまさか自分に自信がない、と思っているとは知らなかった」など。つまり、見た目だけではわからないことがあります。

自信を持てたらその人はうまくいくのか、というと、そういうことではありません。つまり自信がないことがキャリアにマイナスというわけではありません。自信がなくてもやってみよう!と行動に移せたら次に繋がっていきます。

キャリアカウンセリングで相談に来られる方で、ずっと同じトラックをグルグルと回り続けている人をたくさん見て来ました。例えば、〇〇をやってみたいけれど、まだ自信がないから、まずは資格を取って知識が十分についたらチャレンジしようと思っています、という方。でも、資格を取ってもまだ行動に移さないのです。やっぱりこの資格だけでは難しい気がするので、もうひとつ資格を取ったらチャレンジしてみることにしました、という風に。

その間に、一歩踏み出してしまう人の方が、経験も積めて先を走っていきます。もちろんその人が最初からうまく行かないことも多くあり、失敗も織り込み済み、転んでまた走り出します。その人に自信があるのか聞いてみると、ない、という答えが返ってきます。でも、自分なりのやる意味、メリットを理解している様子です。その中には、みんなが応援してくれているから、上司が期待してくれているから、という内容も聞こえてきます。

実は当の私自身、自信がない人間です。若い頃、プレッシャーで過呼吸で倒れてしまったこともありました(笑)。でも、やるかやらないか、の選択があれば、やる意味を感じた時、やったら、できたら楽しいだろう、と感じたことは、やる、を意識して選んできました。今だずっと自信が持てないままです。でも、そういう自分を受け入れています。できなかったら投げ出せばいいし、助けてって言えばいいや、と今でもそう思っています。

私はキャリアカウンセラーとして、自身の経験が役に立てたら、と思っています。

藤井佐和子

藤井佐和子

藤井佐和子ふじいさわこ

キャリアアドバイザー

個人と企業からの依頼によるキャリアカウンセリングは、延べ17,000人以上の実績。学生からシニア層まで年齢や性別を問わず、自分らしいキャリアデザインをするための選択とアクションに向けたカウンセリングを…

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