2012年06月20日

女性活用制度 現場の声と改善ポイントについて

昨今、企業や組織における女性活躍を推進する動きが高まり、「ここ2-3年で、制度面がかなり整った」という企業が増えてきました。具体的には子育てと仕事が両立できるよう、産休・育休制度を整えた会社が多く、その内容は「時短制度は最長、子どもが小学3年生になるまで使える」「認可保育園が見つからない場合、最大2年は産休をとれる」などのようです。

しかし、制度が整った会社であっても、実際に働く女性社員からは、「まだまだ女性は、育児しながらだと働きづらいのが現状」「長期的にみると、会社の中でのキャリアが考えづらい」といった本音をお伺いします。今回のコラムでは、せっかくの女性活用制度を現場で活用されるものとするため、制度と現場のずれの原因、その改善策を考えていきたいと思います。

女性の働き方が多様化する今、仕事に対するマインドにも差があります。産休・育児休暇制度も、女性たちの意識や働き方との適合を意識する必要があります。会社のせっかくの配慮(制度)も、使う人に合っていなければ、悪い方に影響してしまうことも考えられるからです。

男性と肩を並べてバリバリ働き、キャリアアップを目指す女性は、「長期間の育休をとって、社会人としての遅れは出ないのか」と不安に思う一方で、「ラッキー!」とばかりに制度のメリットを当然のこととして使う女性だっています。(※実際にあったトラブルで、子育て以外の目的、たとえば子供を置いて育休中に遊びに行ったのをフェイスブックにあげてオオゴトになった例も。遊びに行くのが悪いわけではないのですが、産休育休の意味を曖昧にとらえたまま制度を使ってしまう人もいます)

前者タイプのある女性は、「うちの会社は出産後2年休んでも、復帰して普通に働けます。でも、もしそれが男性だったら、遅れをとるのは明確ですし、会社が何かあった時に、外で自分が使い物にならなくなってしまうのではと心配なんです」とおっしゃっていました。他にも、キャリアアップを目指す女性たち数名は、一様に「制度がもう少し自由に選べたらキャリア上の心配がなくなるのに」とおっしゃっていました。

ちなみに、下記は国内外で産休・育休期間を長くとらず働く女性たちへのインタビュー実施結果です。
==================
●シンガポール(※前コラム参照)
...産前産後、合計3か月休める。その間は、国が給与面を負担。
合計3か月のバランスは自分で調整し、
それ以降は出社し出産前と同じように働く。

●アメリカ(NY在住の日本人)
...早い人は産後1週間で復帰。特に国や企業の制度支援はないため、
休みの間の生活資金は自己負担。出産から1か月も経てば、
ほとんど出産前と同じように仕事をこなす。
但し、残業はもともと日本より男女共に少なく、定時に帰る風土。

●日本(ベンチャー企業の管理職女性)
...会社に産休制度が整っているが、出産後2か月で復帰。
理由は「自分のポジションを守りたいと思ったから」。
==================
それぞれ環境や価値観の違いがあるものの、特に印象的だったのはベンチャー企業の管理職の女性の言葉です。「休みを取れるのは嬉しい反面、仕事の遅れと、自分がやりたい仕事やポジションがほかの人に取られることが不安だった」とのこと。

そんな女性たちからいくつか出た意見をまとめてみると・・・

■制度を働き方(総合職・事務職など)に合わせる、または選択制にしてほしい
デスクワークやバックオフィスなど、ルーティン化された仕事が多い人は長期的な時短・育休プログラムで良いが、管理職やそれを目指す人・仕事の幅を広げたい人は、休暇期間を短く設定してほしい。(長く休みをとれると会社に甘えてしまう、といったご意見も!)

■家に持ち帰ってよい仕事の領域を増やしてほしい。
そうすれば、場所や時間を選ばず自由に仕事ができる。

今、女性の意識はどんどん変化していっています。制度が整ったらその次へ、優秀且つやる気ある女性がよりパフォーマンスを発揮できるよう、制度を見直すステージに入ってきたのかもしれません。

最後に、女性活躍推進の進捗状況を見る際に必要な確認ポイントを下記にまとめました。下記3つのバランスから考察して頂くと、課題がはっきり見えてくると思います。ぜひご活用ください。

1)制度、評価
男性と同じように、女性が長期的に活躍しつづけられるよう、女性にも合う制度と評価の導入。よくある事例としては育休や時短制度、量よりも質での評価に変更。

2)女性のマインド
女性の意識を高める。選択肢として、管理職への道も検討する意識を持つ。2009年の日本生産性本部の統計によると、女性活躍推進を阻む原因の1位は「女性社員の意識」(複数回答可で、75%強)

3)管理職の意識を含む、会社の風土改善
女性が活躍するための支援や土壌づくり。やはり、日本生産性本部の統計では、60%弱が「管理職の理解、関心が薄い」という結果で2位。