2019年11月19日

女性活躍推進とライフイベントの配慮

 昨今、日本におけるダイバーシティ推進に向けた研修やコンサルティングの依頼は、女性活躍をテーマとしていることが多く、「女性は~だ」というステレオタイプが一般論として語られがちです。しかし、当然のことながら、女性の中にもさまざまな特徴を持つ人が混在しています。

 そんな状況の中で、研修担当者が悩まれている点を今日はお伝えしたいと思います。
まず、女性向け研修を実施しようとすると必ず、「なぜ女性だけなのか」という反発の声が上がってくるものです。反発の声は、当事者の女性はもちろんのこと、上司にあたる管理職の方からもあがってきます。

 おそらく、この研修は、どの企業も「経営戦略」を理由として実施されるもので、研修担当の方は、なぜ女性だけ研修をするのかということを、何度も社内で広報しているはずなのです。

 だから、「女性本人から上がってくるのは仕方ないのですが、上司が会社の方針を理解していないことにがっかりします・・・」そんな声を聞くことが度々あります。
先日、ある企業の社長も同じようなことで頭を抱えていらっしゃいました。推進の背景、目指している意味を課長、部長クラスはわかっていると思っていたのに、と。

 ですから、研修担当者が研修内容に頭を悩ませるのは当然のことです。そこで、苦肉の策として、「女性だけが集まっていただく意味を出すためにも、女性特有の内容を盛り込んでほしい」度々、このようなご要望をいただきます。

 実際、女性向け研修は、男性が受けていただいても問題ない内容です。というのも、これからの活躍を考えるためには、主体的にビジョンを描き、キャリア形成をしていただく必要があるというのが大前提だからです。それは、男性でも一緒です。しかし、男女の大きな違いは、生物学的なところにあります。女性は、男性と違う体の構造をしており、生理、出産、更年期など男性とは違った課題を持っています。最近では、男性も育休を取るようになるなど、育児への参加が促されていますが、女性ならではのこともあります。それをどう乗り越えて活躍していくのかは、たしかに女性特有の課題です。

 ですから、女性特有の内容を盛り込む場合は、ライフイベントや体調のことを考えていただく必要があります。さらにその上、女性それぞれの事情によるのが、結婚・出産について、です。

 子供を持ちたくない女性もいますが、先日、ある男性管理職が、管理職研修にて「女性はみんな、自分の子供が欲しいものなのだと思っていた!」と女性部下に子供を産むつもりはないと言われて面食らった話をされていました。ちなみにその男性管理職によると、女性=母性だから、女性誰もが子供を産みたくなる生き物だと思っていたのだそうです。

 このように、決めつけて話をすることほど、危険なことはありません。女性でも、さまざまなライフイベントに対する意識があることを、管理職研修では、主に男性にお伝えするようにしています。

 さて、一方で、女性だけの研修のお話ですが、女性特有の内容を盛り込む場合もデリケートです。先日、ある女性向け研修終了後、こんな思いを受講者に打ち明けられました。「たまたま私のグループは、お子さんがいる方ばかりでした。私は若い頃、子供ができなくて、不妊治療を頑張った結果、諦めたのですが、みなさん、子供がいて大変!と言いつつ、幸せそうに話していて、アウェーの空気を感じながら、にこにこ聞いているしかありませんでした。」と。

 私も配慮が足りなかったと反省したのですが、女性同士でも、このような違いがあるのです。結婚したくない人、結婚したいけれどご縁がまだない人、子供は欲しくない人、子供は欲しいができない人・・・。

 女性同士は、おおっぴらには本音で語りませんが、女性特有と言っても、人それぞれのライフイベントの状況や悩みが違うのです。

 ではどうしたらいいのか、ということですが、あくまでも研修は、子供がいてもいなくても、結婚していてもしていなくても共有の課題であるキャリアについて学び、考え、その上で、ご自身のライフイベントとあわせて、どうしたらいいのかを考えていただくとよいのではと思っております。ライフイベントに関しては、同じ悩みの人同士で話し合ったり、パネルディスカッションなどで話を聞いたりするとよいのではないでしょうか。

 もちろん、自分とは異なる人がいるということを理解した上で、話を聞くことが前提ですが。