近年、大手企業を中心に、女性の管理職を増やそうとしています。しかし、ネックとなるのが、ライフイベントとの両立だと女性側、企業側ともにおっしゃることがあります。
果たして管理職は、両立が難しいのでしょうか。そしてまた、なぜ、両立が難しいと思われてしまっているのでしょうか。
皆さんお分かりかと思いますが、一番の理由は「時間」です。
「管理職にならないか、と言われたのですが、小さい子供もいるために、会社に遅くまで残れないので、難しいと思います。」企業研修やキャリアカウンセリングで女性側からこのような声をお聞きすることがありますし、また、会社側の経営者や上司が「管理職として活躍してもらいたいが、今、彼女は時短だし、無理は言えないなあ。それに周囲の目もあるし」と、躊躇するケースもあります。
しかし、本当に時間が問題なのでしょうか。それがネックだと思いこんでいる企業や女性が多くいるのではないでしょうか。
以前(2019年3月)のコラムにも、「うちのクライアントが長時間だから、それに合わせると時間に融通の利かない人は難しいんだよ・・・」といった声があると書かせていただきました。このような問題もありますが、仕組みや概念を大きく変えれば、時間に対応できる企業も中には、あるようです。
先日、ある企業がこんなことをおっしゃっていました。
「管理職は、実は週3日出社でも大丈夫なんですよ」
その理由をお伺いしたら、管理職の仕事は、手を動かすのではなく、部下のマネジメントが仕事。手を動かすのであれば、週3日では困るが、部下の仕事の進捗管理と育成であれば、それでやりとりはできるからとのこと。
プレイングマネジャーというスタイルができてから、部下と一緒に、いや、部下以上に働くことを期待される管理職が普通になりましたが、その形はとらずに部下の仕事の進捗管理と育成、そして組織内での調整業務が仕事になるとのことでした。
これであれば、時間に対応できる人も増えるのではないでしょうか。しかし、一方で、対応が難しい人も出てきます。
それはどういう人なのか?
まず、長時間労働ではないのに、部下をマネジメントできる人はどんな人なのか、イメージをしてみていただけたらと思います。
おそらく、不在でも信頼される、人間力の高い人でないと、務まらないとイメージできると思います。一緒に汗をかくマネジメントではない分、その人が不在でも機能する管理職は、人間力があるかどうかの差が大きいと思われます。
従来の、部下に信頼されるために一緒に身を粉にして働く、部下の仕事が少しでも軽減されるように、自分が手を動かす。これでは、管理職は疲弊していきます。プレイングマネジャーではない、違う形をそろそろ成功事例として生み出さないと、疲弊するばかりではないでしょうか。
もちろん、業態やクライアントの意向に合わせると、そんなのは難しい、という企業もあると思いますが、短時間マネジメントができるビジネスもあると思っています。
うちの会社でも週3日管理職が可能かも、と思われた企業は、その人が、社内の多くの人に好かれる人徳がある人かどうかを見極めることが大事です。
そういう人であれば、部下が活躍しやすい雰囲気を作ったり、そのために部下としっかり対話し、相手を尊重し、モチベーション管理するような、サーバントリーダーシップスタイルを実践することが可能だと思います。
部下の話をよく聞き、受け入れ、期待や目的を伝え、会社の方針や変更があった場合に、部下に丁寧に説明をし、不安を抱かせない、このようなコミュニケーションができる人が理想でしょう。
そう考えると、今までの管理職と全く違う人物が浮かび上がってくる可能性があります。
これ以上、管理職の働き方に負荷がかからないためにも、時間で縛らない管理職を作ってもよいのではないかと思います。
藤井佐和子ふじいさわこ
キャリアアドバイザー
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