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2019年05月24日

上司と部下双方で考える 20代社員の転職はあり?なし?

 キャリアカウンセリングでは、よく「転職した方がよいのでしょうか」というご相談を受けます。とくに20代の転職したい理由は「今の会社ではやりたいことができないから」といった趣旨が多いのを感じています。

 また、その中でも女性特有の転職したい理由には、「ライフイベントを考えると、今の会社では先々が心配」といった趣旨が多いのを感じます。

 世代によってキャリアの悩みは様々ですが、今回は20代若手に絞ったお話をしてみたいと思います。

 彼らは、上司にあたる管理職にキャリアについての悩みを共有すると、「まだ若いんだから、今から不安に思ったり、考えたって仕方ないじゃないか。それよりも、目の前の仕事をちゃんと頑張っておけば、認めてもらえてチャンスだって増えるんだから、焦っても仕方ないのに。」といった感想をいただくことが多いようです。私はそのことをお伺いして、一理あるとは思っていますが、一方で時代が違うのでは、という感想も同時に持ってしまいます。

 そこで、キャリアカウンセリングで、転職についての相談を持ってこられた方には以下の点を一緒に考えサポートさせていただいています。

1.今後、どんな仕事やどんな働き方をしていきたいと思っているのか。

2.それは、転職しなければ叶わないのか。

3.今の職場で、それが叶わないのは、なぜなのか。

 まず、1についての考えが明確ではない人も少なくありません。そういった方は、なんとなく今の会社や仕事では将来が見えない。だからキャリアチェンジしたい。しかし、何がしたいのか、はっきりしないといった傾向があります。そういった方には、リサーチと自己分析をサポートします。リサーチは、社内にある仕事の洗い出しと、本当に今の会社では、自分らしい働き方ができないのかを議題にします。漠然とした不安を解消するためには、情報が必要です。案外、会社の規模が大きいと組織全体のことを知らない、つまり、他にどんな仕事(部署)があるのか、また、その仕事はどんな業務内容なのかを知らないといったことが多いのが実情です。また、人事制度でライフイベントの支援があるのに、上司に質問したり、調べていないまま一人で悩んでいることもあります。ですから、本人にもう少しリサーチをしてもらいます。

 リサーチ後に、本当にやりたい仕事や異動したい部署がある場合は、声を挙げてみることを推奨します。先日、ある企業研修の後の懇親会で、上司が異動させてくれないといった相談がありました。しかし、話を聞いていくと、上司を通さなくても異動できる制度や、異動したい先の人と自由にコンタクトを取りやすい組織であることがわかりました。アプローチの仕方はひとつではありません。社内人脈を活用するなど、さまざまな手段を使ってみることが大事です。それでも希望が叶わない人がいます。それは、社内での評判がよくないことがネックになっている人たちです。

 ここで思い出してほしいのが、先ほど一理あると申し上げた、ある管理職のセリフ「目の前の仕事でちゃんと頑張っておけば、認めてもらえてチャンスだって増える」です。アピールも大事ですが、今を信頼してもらえているかどうかも忘れてはいけません。それでも自分の願いが叶わない、不安が払しょくされない環境であれば、転職へコマを進めましょう。

 今、組織は人手不足です。若手の採用が厳しいことを重々わかっています。なので、会社がどんな環境であれば、若手はこの会社で働き続けたい、キャリアを積めると価値を感じてもらえるのか、一生懸命に変化できるよう取り組んでいます。ただ不足しているのが、若手の本音の情報です。会社が社員のために良かれと思って変更した制度が、実は不評だったということは度々起こっています。これは、もちろん会社側のリサーチ不足にありますが、社員の声が上にあげられていないということも考えられます。

 そしてこれからの20代の皆さんには、まだまだキャリア人生が長いですから、自分たちのメリットを感じられる働き方、仕組みを提案していってほしいと思います。また、管理職含め会社には、その声を若者の甘い考えと思い込まずに受け止めてほしいと思っています。案外、思った以上に、若手は真剣に自分の未来を悩んでいますし、働き続けなくてはならないことに腹をくくっていますから・・・。

藤井佐和子

藤井佐和子

藤井佐和子ふじいさわこ

キャリアアドバイザー

個人と企業からの依頼によるキャリアカウンセリングは、延べ17,000人以上の実績。学生からシニア層まで年齢や性別を問わず、自分らしいキャリアデザインをするための選択とアクションに向けたカウンセリングを…

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