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2019年01月25日

ジェンダーギャップを改善する取り組み

 毎年発表される世界経済フォーラム(WEF)による男女格差の度合いを示す「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」2018年版が昨年12月18日に発表されました。調査対象となった149カ国中、日本は110位という結果になりました。本指数は、経済、教育、政治、保健の4つの分野のデータから作成され、0が完全不平等、1が完全平等を意味しています。ちなみに、2017年の日本の順位は、144か国中114位(2016年は144か国中111位)でした。このように、相変わらず世界的に見ても厳しい結果が続く日本ですが、特に足を引っ張るのは、政治125位、経済117位といった分野です。
今回は、5つの項目から構成される経済の指数を見ていきたいと思います。

それぞれ見ていくと、

① 同一労働での男女賃金格差45位
② 労働参加率79位
③ 収入における男女格差103位
④ 専門職や技術職108位
⑤ 管理職のポジションについている男女数の差129位

という結果になっています。

 ①の同一労働での男女賃金格差は、確かになくなっていることを感じます。というのも、私が大学を卒業して新卒で働き始めた昭和の終わりから平成の頭くらいまでは、同じ仕事でも男性の方が賃金のアップ率が高いことは、半ば普通のことと考えられていました。そのため、長期的に勤め続けると、最初は同じだった給与もどんどん差が開いていきました。女性は長く働かないので、仕方がない。働く側の女性の多くがそう感じ、また、組織の評価制度でもその考えがまかり通っていました。同一労働同一賃金の法改正も後押しし、現在はやはり、改善されています。

 また、②の労働参加率も2017年に小学校1年生の子を持つ母親のうち、有職率は67.2%になったと厚生労働省の21世紀出生時縦断調査が発表しています。ちなみにその内訳は、常勤26.0%、パートアルバイト34.1%、自営家業内職7.1%だそうです。これも改善されています。

 さて、問題はグローバル・ジェンダー・ギャップ指数のランクが特に低い③④⑤です。同一労働内では賃金格差はなくなり、働き続ける女性も増え、労働参加率もあがった一方で、全体収入では男女差が依然として、存在します。おわかりかもしれませんが、なぜその収入差があるのかというと、専門・技術分野、管理職として活躍し続ける女性が男性と比べて少ないからです。

 私が担当する研修では、システム会社、研究開発部門も多いのですが、その中でも、活躍する女性が続かないことが問題視されています。「うちの女性たちは、非常に優秀なんですよ。ひょっとすると、同期の男性よりも真面目だし、やる気もあるし、結果も出してくれるし。でも続かないんですよ。」こんな風におっしゃる管理職の男性も多数おられるくらい、実際彼女たちは非常に優秀で、会社も上司もそれを認めています。

そう、問題は何かというと「続かないこと」なのです。

 安易な表現ですが、専門・技術職分野で管理職として活躍している女性が男性と同等数いれば、このジェンダーギャップ指数はある意味、改善されるともいえるのではないでしょうか。しかし、管理職になる前に、彼女たちは辞めてしまったり、違う職種に転職(異動)していくことも少なくないのです。繰り返しになりますが、問題は、「続かない」なのです。本当の意味でのジェンダーギャップがなくなるとは、誰もが長く活躍・成長し続けられるかどうかではないでしょうか。

 では、自組織の技術研究職の女性はなぜ続かないのか。なぜ管理職にならないのか。この問題から目をそらさないことが大事です。そして、多くの企業が、女性の仕事が続かない理由を知っています。それは、ハードワーク、長時間労働が原因です。昨年1年間、その課題に対して、本気で取り組んでいる企業といずれやらないとまずいと思いながら何も手を打っていない企業では、実際に大きな差が開いています。私は、さまざまな企業を見ていますが、前者は優秀な女性が辞めなくなっている、外国籍の人も辞めなくなっている、学生が入りたい企業だと選んでいるなど目に見えて効果が出ています。徹底して課題に取り組むこと。グローバル・ジェンダー・ギャップ指数を改善するには、これ以外に方法はないのではないでしょうか。

 これらのことを踏まえ、企業の総務担当者は、今年をジェンダーギャップをなくす、本気の1年にしてみてはいかがでしょうか。

藤井佐和子

藤井佐和子

藤井佐和子ふじいさわこ

キャリアアドバイザー

個人と企業からの依頼によるキャリアカウンセリングは、延べ17,000人以上の実績。学生からシニア層まで年齢や性別を問わず、自分らしいキャリアデザインをするための選択とアクションに向けたカウンセリングを…

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