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2025年07月04日

「伝わる」話し方の習慣

話し方の影響力

前回は、「言葉の選び方」で伝わり方が変わるということをお伝えしました。今回は、「伝わる話し方」について考えていきます。

言葉選びつまり“何を言うか”というのは、コミュニケーションのとても大切な要素であることは確かですが、その先にあるのが“どう言うか”です。どんなに適切な言葉選びをしていたとしても、伝え方を間違えると、全く違う印象を与えてしまうことがあるからです。

例えば、「分かりました」という言葉で考えてみましょう。同じ言葉でも言い方が違うことであなたならどんな印象を受け取りますか?

  • A(ハキハキと)「分かりました」
  • B(ボソボソと)「分かりました」
  • C(仏頂面で)「分かりました」

全て言葉は同じですが、Aからは前向きな印象が、Bからは後ろ向きの印象が、Cからは否定的な印象が感じられますよね、そして、言葉そのものと、その印象、どちらに反応するかといえば、後者でしょう。つまり、Aのような反応ならそのまま話が進みますが、BやCの反応だったら、「本当に分かっている?」「何か言いたいことがあるの?」と、つい突っ込みたくなるものです。

私たちが相手から受け取っているのは、言葉だけではないのです。ですから、言葉だけをいくら整えても、それだけでは良いコミュニケーションは生まれにくくなってしまいます。

気持ちの良い話し方とは

ではどのような話し方がより「伝わる話し方」になるのでしょうか。
それを考えるにあたってまず意識したいのが、“姿勢”と“表情”です。「話し方」というと“声”がまず一番に浮かぶかもしれませんね。もちろんそれも大事ですし、後ほどそこにも触れたいと思っておりますが、その前に押さえておきたいのが“姿勢”と“表情”なのです。

先ほどの「分かりました」で考えてみましょう。ハキハキ言うと、ボソボソ言う、両方をあえてやってみてください。どこが大きく違っていますか?

おそらく多くの方が、ハキハキ言う時は顔を上げて笑顔を浮かべ、ボソボソ言う時は下を向いて真顔だったのではないでしょうか。“声”は“姿勢”と“表情”に連動します。上を向いているか下を向いているか、笑顔か真顔か、それに合わせた声が出るということです。

人は、明るさや温かさといった前向きなエネルギーに心地よさを感じるものです。つまり、気持ちの良い話し方を身につけるには、まずしっかり前を見ること、そして笑顔になることが第一歩なのです。

笑声(えごえ)

特に笑顔から生まれる声は「笑声(えごえ)」と呼ばれており、この声が耳に最も心地よく響く音だと言われています。試しに「ありがとう」という言葉を、笑顔と真顔でそれぞれ口にしてみてください。

どちらの方がより嬉しさが伝わる「ありがとう」になっていますでしょうか。笑顔で言った方がしっかりとした喜びの表現になっていますよね。真顔のままの「ありがとう」は、口ではそうは言っていても、ちっとも喜んでいないという印象が伝わってきます。

だからこそ、気持ちの良いコミュニケーションにおいて、笑顔は切り離せないポイントなのです。視覚的な気持ち良さだけでなく、耳にも心地よいものを生み出すわけですから、笑顔で話すように心がけるだけでも相手の反応は変わってくるはずです。

とはいえ、注意点もあります。もちろんながら、いつでもどんな話の時でも笑顔が良い、ということではありません。例えば相手が真剣な話をしている時、悲しい話をしている時に、こちらがニコニコしていたら相手は不快になるでしょう。

笑顔を基本スタンスとしながら、話の内容や相手の感情に合わせて柔軟に表情を動かすことが、共感的なコミュニケーションです。笑顔=正解ではないということは心に留めておいてください。

声のRGB

姿勢と表情に意識が持てたら、次に声に注目してみましょう。
「声色(こわいろ)」という言葉がありますが、声にも色があります。どんな色の声を出すかで、伝わる印象がまた大きく変わってきます。

とはいえ、色には相当な種類がありますし、それを全部声に当てはめて使い分けるのは至難の業です。ですから私は「RGB」の三色をまず意識することをおすすめしています。

「RGB」とは“三原色”を表しており、この3つの色を元に様々な色が生み出されています。声もまずはこの“三原色”を抑えることで、様々な表現が生み出されやすくなっていきます。

「RGB」は、R=赤、G=緑、B=青を表しています。これを声に当てはめると、“赤い声”“緑の声”“青い声”ということになります。

赤のイメージは、明るい・元気・エネルギッシュ、つまり前に向かって弾けるような音です。緑のイメージは、優しさ・穏やかさ・柔らかさ、つまりふわりと包み込むような音。青のイメージは、信頼・冷静・力強さ、つまり地に足のついた落ち着きのある音です。

それぞれどのように出すかというと、赤は顔の中心を響かせる、緑は胸を響かせる、青はお腹を響かせる、という意識です。細かいことはあまり考えず、体を響かせる場所を少し変えるだけで大丈夫です。

例えば、挨拶は元気な方が気持ち良いですから、顔を意識して“赤い声”を使う。日常会話や説明は、胸を意識して“緑の声”を使う。クロージングや説得の場では、お腹を意識して“青い声”を使う。常に同じトーンで話しているよりも、よりメリハリがつき、相手に届く話し方になっていきますよ。

山本衣奈子

山本衣奈子

山本衣奈子やまもとえなこ

プレゼンテーション・プランナー

<ご本人からのメッセージ> 私は大学時代は演劇を専攻、在学中にイギリス・ロンドン大学のドラマ科に留学しました。演劇というと、ストイックな役作りや身体表現をイメージされることが多いのですが、演劇は総合…

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