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2015年03月05日

2015年のJリーグがまもなく開幕! 2ステージ制を勝ち抜く「勢い」を持ったチームはどこか

 2015年のJ1リーグが、3月7日に開幕します。

 J1リーグは今シーズンから、2ステージ制で争われます。第1、第2ステージの優勝クラブと、両ステージであげた年間勝点の1、2、3位チームが、チャンピオンシップと呼ばれる年間王者決定のトーナメントに進出します。

 ステージ優勝と年間勝点の上位3チームが重複する可能性はありますが、最大で5チームがチャンピオンシップに出場するわけです。プロ野球で言えば、レギュラーシーズンとポストシーズンという言い方になるでしょう。

 第1ステージは3月7日から6月27日までの3か月強の争いです。第2ステージは7月11日から11月22日の4か月強です。いずれも短期決戦ですから、「勢い」が優勝争いを左右します。スタートダッシュに成功したチームは優位となり、躓いたチームはステージ優勝から遠のいてしまう。ステージ制覇のためには、3月7日の開幕から大一番に挑むモチベーションで戦う必要があるでしょう。

 チャンピオンシップの参考になるのは、J2リーグで2012年から導入されている「J1昇格プレーオフ」です。プレーオフにはリーグ戦の3位から6位のチームが参加できるのですが、レギュラーシーズン最上位の3位のチームが勝ったことがありません。2012年は6位の大分トリニータ、2013年は4位の徳島ヴォルティス、2014年は6位のモンテディオ山形が、プレーオフを制してJ1へたどり着きました。

その結果は、何を意味するのか。

J1自動昇格圏の2位を競り合い、残念ながらプレーオフにまわった3位のチームよりも、終盤に結果を残してプレーオフに滑り込んだチームのほうが、勢いを持って戦うことができていたのです。J1リーグに当てはめれば、第2ステージの勝者は間違いなく勢いをつかんでいます。一方で、第1ステージを制したクラブは、その時点でチャンピオンシップ出場が決まりますから、第2ステージは余裕を持って戦うことができます。第2ステージをチャンピオンシップへの調整と考えることもできる。

 各ステージは短期決戦で、チャンピオンシップはトーナメンントです。それだけに、何が起きるのか分かりません。何が起こってもおかしくない、と言うこともできるでしょう。

 昨シーズンのJ1リーグで優勝を争ったガンバ大阪、浦和レッズ、鹿島アントラーズは、アジアのクラブナンバー1を決めるアジアチャンピオンズリーグ(以下ACL)に出場しています。柏レイソルを含めた出場4チームは、第1ステージの開催期間にグループステージの6試合を戦います。決勝トーナメントへ進出すれば、さらに2試合が追加されます。そのなかには、韓国、中国、オーストラリアなどでのアウェイゲームもある。

 浦和は2チーム分の戦力を揃え、ガンバや鹿島もピンポイントで補強をしています。ただ、優勝候補にあげられる彼らは、ACL出場による疲弊が避けられないでしょう。そういう意味で、今シーズンのJ1リーグは横一線の競争になると考えます。

 そのなかで私は、鹿島に注目しています。「あれ、鹿島はACLに出場するじゃないか。疲労が避けられないんじゃないの?」と思う方がいるかもしれません。鹿島は段階的に世代交代を進め、20代前半の選手が続々とポジションをつかんでいます。22歳の昌子源と柴崎岳、20歳の植田直道は、1月のアジアカップで日本代表に選出されました。昨年のベストヤングプレーヤーに輝いたブラジル人のカイオも、1994年生まれの20歳です。

 かつて私は若年層の強化に長く関わりましたが、こうした年代の選手たちは成長の歩幅が速いのです。極論すれば1試合のワンプレーをきっかけにして、目覚ましい進歩を遂げることがあります。リーグ戦に加えてACLというタフな戦いを経験することで、若手選手たちがレベルアップをはかり、チーム全体も右肩上がりに成長をしていくのではないか、との期待を抱くことができるのです。

 トニーニョ・セレーゾ監督にとっては、若い選手を支えるベテランの存在も頼もしく映っているに違いありません。4月に36歳となる小笠原満男や、彼と同学年の本山雅志やゴールキーパーの曽ヶ端準らが、ピッチの内外でチームを引き締めています。フロントの眼力も見逃せません。

 シーズン開幕を迎える現時点で、鹿島はFW陣に不安を抱えていると言われています。ブラジル人フォワードのダヴィが、昨シーズン終盤に負ったケガで戦列を離れているのです。

 しかし、たとえば第1ステージで得点力に悩まされたとしたら、鹿島のフロントはすぐに手を打つでしょう。臨機応変で的確な補強をしてきた歴史が、このチームにはあるのです。

 日本代表監督の後任選びが、いよいよ大詰めを迎えています。監督が誰になるのかはもちろん大切ですが、日本代表の土台となるのはJリーグです。J1はもちろんJ2リーグでも白熱な戦いが繰り広げられ、日本代表のレベルアップにつなげていってほしいものです。

山本昌邦

山本昌邦

山本昌邦やまもとまさくに

NHKサッカー解説者

1995年のワールドユース日本代表コーチ就任以降10数年に渡って、日本代表の各世代の監督およびコーチを歴任し、名実ともに日本のサッカー界を牽引してきた山本氏。山本氏の指導のもと、成長をとげた選手達は軒…

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